瀬野川産業、サーチャージで影響最小限
瀬野川産業(立川弘幸社長、広島市安芸区)は、イラン情勢による原油の供給制限や価格高騰の影響を燃料サーチャージ制により最小限にとどめている。今後も情勢を見ながら荷主企業と綿密な情報交換を行い、輸送効率化を含めて的確な対策を講じていく。(江藤和博)
燃料サーチャージを導入したのは数年前で、細かい条件や方式などは荷主企業によって異なる。4月から石油販売事業者によるインタンク(自家用給油所)への供給制限が始まり、瀬野川産業でも外部スタンドでの給油に切り替えてコストは大幅に上昇したが、サーチャージ制によって上昇分の一部を荷主に転嫁している。
立川社長は「どの荷主企業も燃料費の負担増に関しては協力的でありがたい。ただ、イラン情勢は流動的で、政府が石油元売り事業者に支給している補助金が仮になくなれば、軽油1㍑当たりの価格は160~170円まで跳ね上がり、サーチャージで定めた上限価格を超える可能性もある。荷主企業と常に情報を共有し、物量に応じて輸送頻度を見直すなどタイムリーな対策を講じていきたい」と話す。
主力の輸送品目である食品の荷動きは減少傾向が続く一方、ドライバー増員や増車、センター新設は労務費や車両価格、建設費の大幅アップで難しい。荷主の理解を得ながら現有の経営資源を最大限に生かす戦略を進め、26年3月期は増収増益を確保。売上高は瀬野川産業本体が38億円(25年3月期比10%増)、倉庫のステップ(立川社長、安芸区)や持ち株会社を含めたグループ全体では41億4千万円(2%増)で、営業利益はいずれも増加した。
「これまで自社車両で輸送していた広島県北や呉市など、物量の割にコストがかかる地域は特別積合せ事業者への委託に切り替えるなど改善策を提案し、荷主も受け入れてくれた。岡山営業所(岡山市北区)で大手食品メーカーを獲得できたのも増収増益に寄与した」
こうした中、倉庫業では追い風も吹いている。建設費の値上げを背景に、倉庫の賃料が一時期に比べて5割増しのペースで上昇。また労務費やラップなど資材価格も高騰していることから、賃借物件で倉庫業を営む事業者の撤退が増えている。これに対して、瀬野川産業は岡山・広島(本社)営業所、久地配送センター(広島市安佐北区)に自社倉庫を持っているため相対的に競争力が高くなっており、新規の取引案件が増えているという。
今後については「自社倉庫の強みを生かしながら、同業者とのネットワークをさらに強化し、主力の小口貨物混載便を強化したい。また、ラベル貼りやパレットへの積み付けなど付帯作業は原則として撤退あるいは有料化して収益力を上げていく」と展望する。
26年度は倉庫のデジタル化を引き続き進める。久地センターで音声ピッキングシステム、広島営業所では倉庫管理システム(WMS)を既に導入しているが「広島の土地柄や倉庫の広さ、物量、庫内スタッフの人数などを総合的に考えながら新しい機器やシステムを選定する」。そのため、勉強会や展示会へ積極的に参加していく考えだ。


アイエヌライン、愛知に中継拠点開設
アイエヌホールディングスグループのアイエヌライン(奈賀幾次郎社長、福岡県吉富町)は、東名高速道路・三好インターチェンジ近郊に名古屋スイッチングセンター(佐中務所長、愛知県東郷町)を開設し、自動車部品物流と全国各地を結ぶ多様な貨物の中継拠点として機能させる。
1日から本稼働。敷地面積1万平方㍍の物流用地に2階建ての物流倉庫(延べ床面積2千平方㍍)を建てた。
自動車部品の調達物流を行うための専用システムを備え、物流施設には海上コンテナの荷役用プラットホームやスロープのデバンニングデッキを備えた。当面、25人の乗務員、作業員の体制で運営していく。
また、このセンターは九州と東北、関東、関西を結ぶスイッチング輸送の中継拠点として機能させる。トレーラ・トラクタ方式、貨物積み替え、ドライバー交代を活用し、乗務員の労働環境改善を図る。将来の自動運転の普及を見据え、中京地区のラストワンマイルを担う拠点の役割も果たす。
このほか、男女別に休憩室を8部屋、シャワー室、ランドリールームを設け、働きやすい職場環境を整えた。現在、ロジスティクスを学ぶモンゴルの大学生のインターンシップを受け入れ、外国人労働者の雇用確保と将来にわたって国際的に活躍できる人材育成の取り組みを進めている。
田村務副社長は「荷主企業の協力を得て、ドライバーが日帰りできる勤務体制を実現できる。引き続き、改善基準告示の順守で『2024年問題』の課題解消に努め、ドライバーの確保対策につなげる。トラックのスイッチ輸送で24時間の稼働を実現し、収益性の向上につながる」と説明しており、高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの駐停車対策など社会問題の解決にも取り組んでいく。(武原顕)

住商グローバル・ロジスティクス(SGL、古澤秀公社長、東京都千代田区)は、既存事業の強化を図る傍らで新規事業の創造にも傾注していく。4本柱のロジスティクス・センター、コーポレートロジスティクス、国際物流・海外事業、物流容器レンタルに加え、新たな柱となる5番目の事業を構築する動きを加速。2027年3月期は飛躍的な成長に向けて土台をつくる一年と位置付ける。(澤田顕嗣)
将来の屋台骨を支える新規事業開発は26年3月期に新設した事業推進グループが中心的な役割を担い、各事業本部との連携を通じて「横串ビジネス」など第5の柱となる事業の創造を主導。センター事業本部が国内の物流センター業務を請け負っている顧客に対し、海外からの調達物流などを含むサプライチェーン(供給網)全体の提案を行っているほか、商流・決済への関与など従来の枠組みを超えたサービスも提供する方針だ。
既存事業の成長戦略も推し進める。ロジスティクス・センター事業は通信や通販などの3PL(サードパーティー・ロジスティクス)業務を手掛ける。旗艦センターの茜浜センター(千葉県習志野市)では、自動化設備を駆使して持続的で高度な物流センター機能「ASP(茜浜シェアリングプラットフォーム)」を複数の通販事業者に提供しているが、コンセプトに合致する需要を取り込んでASPの供給能力を最大限まで引き上げる。
これ以外にも3PL業務で培ってきた現場運営や改善推進の実績と、自社センターで各種の自動化設備を実装・運用している経験を生かし、顧客の視点に立った「自動化伴走支援サービス」の提供にも乗り出している。
コーポレートロジスティクス事業の一環として手掛けている「貿易実務代行&業務改善支援」は、住友商事グループの貿易を支えてきた実績と経験を土台に、貿易実務分野の属人化の解消、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、人手不足の解決に貢献している。
海外事業は日系企業のみならず、外資系企業の需要も開拓する。タイでは日用品や飲料といった消費財に焦点を当て、中国では半導体に使う化学品のニーズを狙う。
物流容器レンタル事業はこれまで化粧品と食品の需要を主に想定してきたが、今後は農産物や海外などの需要開拓にも努める。
全体の業績指標は純利益とROIC(投下資本利益率)を重視しており、単体の純利益は28年3月期までに過去最高となる25億円超(26年3月期は20億円超)の達成を目指す。
古澤社長は「当社を取り巻く環境変化のスピードと振れ幅が、過去に比べて圧倒的に速くて大きい。SGLは海外物流や3PLを手掛ける『商社系物流』会社として語られることが多いが、今後は既に保有する総合物流会社としての機能に加えて商社系の強みも生かすことで、物流領域におけるさまざまな新規事業機会の創出を行う『物流系商社』としての機能も発揮していこうと社内で話している」と説明。
その上で「28年3月期以降の飛躍的な収益拡大を実現する布石を26年3月期から打っており、27年3月期は大きくジャンプするための実績を残す1年にする」と意気込みを語る。
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