飼料輸送、課題山積、1社単独での対応限界
飼料輸送には、危険な高所作業や付帯作業、荷待ち時間の削減、人材確保、適正運賃の収受、家畜伝染病の予防など課題が山積している。積雪地や山間部への輸送など、地域特有の事情も重くのしかかる。飼料輸送が立ち行かなくなれば、日本の食糧供給に影響を及ぼす。こうした中、全日本トラック協会の飼料部会(福田博部会長)が13日に発足した。全国の飼料輸送事業者が抱える課題の解決に向け、業界一体となってドライバーの労働環境改善を目指す。(特別取材班)
飼料輸送のドライバーは、バルク車の圧送ホースを脱着する際、タンクの最上部に上り、ふたを手作業で開閉している。昇降用のはしごは手足の掛かりが悪く、安全帯を取り付ける設備が備えられていないことも多い。ドライバーの負担を減らすため、釜淵商事(釜渕清嗣社長、青森県田子町)や山坂(福岡亮介社長、鹿児島県鹿屋市)の配送先となる農場では、地上からふたを開閉できる飼料タンクへの移行が進んでいる。
飼料工場などでも製品の充てんや飼料用添加剤の投入といった作業はバルク車の上に登って作業する。添加剤は1袋が20㌔と重く、高所作業は危険を伴うにもかかわらず、料金を収受できていないのが実情だ。
山坂では、袋を小分けにする対応を取っているが「落下防止策をさらに講じる必要がある」(福岡社長)とする。対応策として、川内運送(佐々木研社長、青森県五戸町)の配送先の農場では、小屋の2階に添加剤を用意し、そこへバルク車を横付けできるようにしている。ドライバーは手ぶらで上部へ移動し、添加剤を真横にスライドさせる形で投入できる。危険な昇降や無理な姿勢を伴わない安全な荷役が可能となるが、こうした体制が整う農場は1件にとどまるという。
また、青森県の飼料輸送は、運送事業者と農場の高齢化に伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れに加え、ストック・ポイント(在庫保管・管理拠点)の設置コストや、それを運賃などで吸収・回収できないことが壁となり、労働環境改善や人材確保の停滞に直面している。
全ト協飼料部会の副部会長に就いた、釜渕運送(青森県田子町)の釜渕嘉与社長は「人員面からも1社単独での対応は限界がある。拠点の共有や配車システムの共同管理など、運送事業者が一つのチームとして飼料輸送を継続するための多角的な提案をしたい」と話し、組織を超えた連携の必要性を訴える。
飼料工場には多くの運送事業者が出入りしており、他社の動きを把握できないため、自社の努力だけで混雑を回避するのは困難となっている。釜淵商事の朝生潤副社長は「荷主には時間指定の非対応を伝えているが、『朝早く』『午後遅め』といった要望はなくならない。このため、混雑が予想されていても特定の時間帯に積み込まざるを得ず、飼料積み込みゲートでは深刻な荷待ちが発生しているのが現状だ」と明かす。現場では、今日も「飼料が切れてしまったので、早く欲しい」という督促の電話への対応に追われている。
地域特有の課題もある。佐賀県は山間部に小規模な農場が多く、道幅も狭い。大型トラックでは進入、転回できないため、小型の5㌧フルトレーラが必須となっている。しかし、5㌧フルトレを唯一製造していたメーカーが新規生産をストップしているという。
松浦通運(佐賀県唐津市)の馬渡恒太朗社長は「需要の減少に加え、自動ブレーキなどの法改正に引っかかることが要因らしいが、車両の代替ができなくなると単車に戻さざるを得ず、ドライバーや車両が2倍必要になる。働き方改革や生産効率化に逆行し、将来的な輸送コストの上昇を招きかねない」と強調する。
家畜の伝染病が発生したときの、運送事業者の経営安定化にも目を向ける必要がある。群馬県のある事業者は「毎日1台稼働していたが、豚熱の発生により半年で4千万円の損害が出た」と家畜伝染病発生の影響を嘆く。
別の事業者も「疫病が発生すると、向こう3~6カ月先まで決まっていた仕事が急になくなる。その期間の穴埋めを行うために運賃相場を下げる事業者が出てきてしまう」と指摘。さらに「車両の消毒などの対策は、運送事業者に全ての負担がかかる。消毒の工程が入るだけでも一つの現場で30分は必要。労働時間が圧迫される」と、仕事がなくなった際の支援などの必要性を訴える。
全ト協飼料部会への期待が高まっている。道北物流(北海道幌延町)の宮本栄社長は「メーカーの垣根を越えて、農家側も交えて一体となった取り組みが必要。部会がそうした機会を設けるきっかけになればいい」としている。
佐賀県トラック協会飼料・畜産部会の部会長も務める馬渡氏は「全ト協で部会が新設されることで、タンク昇降時の安全性など全国一律の課題のほか、北海道や東北などの雪害、車両問題など地域特有の課題を集約し、数の力を背景に国へ改善要望をまとめて上げられるようになることを期待している」と話す。
飼料輸送の課題を運送事業者の取り組みだけで解決するのは難しい。直面する危機への理解を促し、早期対応を図ることが必要だ。


三菱食品(伊藤和男社長、東京都文京区)、IHI物流産業システム(川田基浩社長、江東区)、仏Exotecの日本法人は21日、自動化物流システムを三菱食品の物流センターに導入し、本格運用を開始した、と発表した。
業務用食材・資材卸売サービス専用の草加FSDC(フードサービスディストリビューションセンター、埼玉県草加市)に、Exotecが開発した3次元高速ピッキングシステム「Skypod」を常温エリアへ、IHI物流産業システムのケース自動倉庫「シャトル&サーバ」を冷凍エリアへそれぞれ導入。食品卸業界の常温エリアへの自動化物流システムの導入は国内初となる。
ロボットがラック内を自在に昇降してピッキングし、対象アイテムを作業者の手元まで搬送する倉庫自動化ソリューションのSkypodは、センターでの常温の食材、酒類、資材などを取り扱い、作業者の歩行負担や商品探索に要する時間を削減し、ピッキング作業の効率化と精度向上を実現する。
また、冷凍エリアでは、シャトル&サーバによって、低温環境下の保管・出庫作業を自動化することで、作業負荷の軽減と省人化を図る。三菱食品は、システムの導入により「業務用食材・資材通販物流での出荷能力の向上、作業品質の安定化、省人化を推進し、今後の事業拡大に対応可能な物流基盤の構築を目指す」(広報・ブランディンググループ)としている。(田中信也)

ダイワコーポ、川崎・東扇島に冷蔵拠点
ダイワコーポレーション(曽根和光社長、東京都品川区)は22日、川崎市川崎区東扇島で建て替えを進めていた同社の物流施設「川崎営業所」が3日に竣工した、と発表した。食品物流に対応したBTS(特定企業入居)型の冷凍・冷蔵施設で、入居企業による設備工事を経て8月17日に稼働させる。
敷地面積8630平方㍍、地上7階建てで、延べ床面積は3万3600平方㍍となる。公称保管能力は2万7千㌧。
今回の建て替えによって、顧客専用に設計・建設したBTS型施設として生まれ変わった。首都圏有数の物流集積地である東扇島に位置。首都高速道路など広域交通網へのアクセスに優れており、首都圏や東日本エリアへの配送効率向上や物流ネットワーク強化といった効果が見込まれる。
同営業所は40年以上にわたり同社の物流事業を支えてきた拠点。曽根社長は「新たな施設が顧客の物流基盤として長く活用され、物流効率化や事業発展に貢献できることを願っている」としている。
同社では、物流サービス事業と物流不動産事業で培ったノウハウを生かし、既存物流拠点の価値向上を進めるとともに顧客の物流効率化、業務改善を支援。物流パートナーとして持続的な成長に寄与することを目指す。
(吉田英行)
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