熊本地震、支援物資輸送が本格化
7月28日に発生した最大震度7の熊本地震を受け、自治体からの要請に基づく緊急支援物資の輸送を都道府県トラック協会などが本格化させている。行政と民間が連携し、避難所で不足している飲料水やティッシュペーパーなどの日用品を現地へ順次発送。各ト協の関連団体からも独自の支援活動があった。インフラ損壊に伴う配送の遅延や渋滞といった深刻な障害に直面する中、官民一体となり、物流ネットワークの維持と迅速な供給に向け、活発な動きが広がっている。(特別取材班)
日用品の輸送を中心に支援が進む。東京都トラック協会多摩支部(城康幸支部長)は、東邦運輸(中島秀治社長、東久留米市)の大型トラック1台を派遣し、熊本県八代市に飲料水やウエットティッシュなどを届けた。茨城県トラック協会の日立支部(中野勝義支部長)は8月2日、熊本県支援物資センターに水を運ぶため、10㌧車1台を手配するよう要請を受けた。香川県トラック協会(楠木寿嗣会長)や山形県トラック協会(小松洋一会長)でも、同様の動きが出ている。
奈良県トラック協会(塚本哲夫会長)は、熊本県宇土市へ支援輸送を行った。奈良県桜井市と宇土市は相互応援協定を締結しており、奈良支部(塚本支部長)と桜井支部(吉岡正樹支部長)の両支部長が、それぞれ代表を務める会社の車両を手配。奈良支部は飲料水1万5千本、桜井支部はウエットティッシュ1500個をはじめとする衛生用品を輸送した。
被災地で懸念される衛生環境の悪化やトイレ不足に対応する動きもあった。東京都トラック協会品川支部(石川康司支部長)は、水循環型シャワーなどの物資を載せた大型トラック1台に加え、品川区が保有する5室のトイレを備えたトラック1台と、運転を担当するドライバーを熊本県宇城市に派遣。7月31日、生活物資とともに品川区役所を出発し、8月2日、被災地に到着した。
徳島県トラック協会(湯浅恭介会長)も、熊本市中央区のナースパワーアリーナ(熊本市総合体育館)へ生活用水を確保・供給するための装置を輸送した。誠徳運輸(酒井一誠社長、徳島県上板町)と徳島ホームガス(南條賢社長、鳴門市)が協力。それぞれ4㌧車1台を提供し、4セットずつ計8セットを現地へ運んだ。
また、京都府トラック協会(平島竜二会長)は3日、近畿農政局の要請を受けて大優商事(藤澤良太社長、京都市伏見区)が協力し、災害用応急ポンプなどを運んだ。
トラック業界側から自治体を動かした事例もある。長野県トラック協会の佐久地区輸送協議会(中嶋剛登会長)は、長野県佐久市からの要請をきっかけに小諸市、御代田町、軽井沢町の近隣市町に協力を働きかけた。中嶋会長が代表を務める千曲運輸(小諸市)が各自治体の飲料水や生理用品、衛生用品といった物資を集め、トーシン(井出幸義社長、南牧村)のトラックに積み替えた後、被災地に送り出した。
トラック協会以外の団体にも取り組みは広がっている。日本倉庫協会は、7月29日付で小野孝則会長を本部長とする災害支援対策本部を設置。関係地区協会の社員、施設、貨物の被災状況の調査や緊急支援物資の取り扱い、義援金の受け付けなどを行う方針を示した。


SGL、倉庫の自動化サポート
住商グローバル・ロジスティクス(SGL、古澤秀公社長、東京都千代田区)は、卸やメーカー、物流会社などを対象とした「倉庫自動化伴走支援サービス」に力を入れている。ロジスティクス・センター事業で培った知見やノウハウを駆使し、倉庫利用者にとって最適なマテハン機器を選んで自動化をサポートする。(澤田顕嗣)
SGLは、採用難や人件費上昇への対応が課題に浮上してきたことを受け、専門の部署を立ち上げて2015、16年ごろから各センターの自動化に向けた取り組みを加速。中核拠点の茜浜センター(千葉県習志野市)では、各種の自動化設備を活用して複数の通販事業者の物流業務を手がける「ASP(茜浜シェアリングプラットフォーム)」を提供している。
人手不足などを背景に自動化機器の活用が不可避となりつつある中、庫内作業の大半を占めるピッキングと梱包を中心に、複数の荷主に共通する作業工程を自動化するのがASPの趣旨。消費者向けの事業を展開する荷主(売上高50億~200億円規模が主体)を対象としており、主要顧客の4社に加え新規のニーズにも応じている。
現場では仕分け作業と梱包作業を隣接させて歩行を極限まで減らしているように、マテハン機器の配置などに工夫を凝らして効率と品質を高いレベルで追求。茜浜第一センターでのBtoC(企業-消費者)の出荷件数は1カ月当たりで250万件を数える。
実装している自動化設備は、棚搬送型ロボット、荷揃(ぞろ)えシャトル、方面別仕分けソーターなど多岐にわたる。中でも23年2月に導入したイタリア製の三辺可変自動梱包機は国内唯一であるほか、ダイフク製のケース自動倉庫は長辺(奥行き)が50㍍と、近年のケース自動倉庫では国内最長級という。
同センターは最新マテハンの実用性を検証するR&D(研究・開発)機能も持ち、現場と技術の最適な組み合わせを日々探求している。
倉庫自動化伴走支援サービスは、現場の運営と改善推進、自動化機器の導入といった3PL(サードパーティー・ロジスティクス)事業者としての豊富な経験を生かし、自社のノウハウを外部に開放することを目的に24年から提供を開始。大型案件ともなると構想、設計、導入、運用まで2年程度を要する。25年は卸と3PL企業の計3社のプロジェクトを請け負ったが、これからも幅広い業種・業態の自動化を支援する。
センター事業本部の影井宏樹センター企画推進部長は「ASPは他社が提供しているプラットフォーム事業に全く負けておらず、このサービスは他にプレーヤーがほとんどいないと認識している。特定のマテハンにとらわれずに提案する。製造メーカーからの引き合いも寄せられており、同サービスを受託する顧客の領域を広げたい」と力説。
さらに「地方を中心にこれから人手不足が進み、人件費は一段と上がる。ROI(投資利益率)の観点でヒューマノイドの活用もやりやすくなる。自動化設備を現場に入れて分かることがあり、それが顧客に同サービスを提案する際に役立っている。現場のアップグレードに努めながら、顧客の課題解決に貢献していく」と意気込みを語る。

スーパーマーケットや食材宅配などを手がけるエブリイホーミイホールディングス(岡﨑浩樹社長、広島県福山市)は7月27日、食品の輸配送事業を展開することぶき流通システム(和田博壽社長、鳥取県米子市)をグループ化した、と発表した。今後は、山陰-山陽の流通のさらなる強化を図り、地域の食材をより多くの消費者に届けることで、新たな価値創造に挑戦していく。(宮本晶子)
1996年3月に創業したことぶき流通システムは、社員50人が在籍しており、米子市と島根県雲南市に営業所を構え、地域に密着した輸送サービスを提供。2026年6月1日付で傘下に入った。7月1日付で和田社長が会長に就任し、社長兼COO(最高執行責任者)に就いたのはエブリイ(同)物流部長の宮口善光氏で、今後も兼務する。事業内容や運営体制は変更しない。
両社は、10年以上にわたり「鮮度」「おいしさ」にこだわった食材を消費者へ届ける取り組みを共に進めてきた。長年築いてきた信頼関係を礎に、地域の魅力ある食を届けたいという思いが深く重なり、グループ入りに至った。
14年には、スーパーマーケットのエブリイ全店に境港で水揚げされた生の紅ズワイガニを産地から店舗へ直送する「境港魚市場直送便」を始めるなど、海産物を新鮮な状態で山陽エリアの消費者へ届ける物流体制を共同で構築している。
26年5月にはエブリイホーミイHDが島根県に、6月には鳥取県に、それぞれ農産物集荷場を開設し、地元の生産者から預かった農産物を広島市のエブリイ店舗へ届ける取り組みを開始。集荷場を利用する生産者からは「近くで出荷できるので助かる」「少量でも出荷できるので続けやすい」「販路が広がった」といった声が届いており、生産者と消費者をつなぐ地域間流通の深化に注力している。
同社は「山陰・山陽エリア間の物流機能をさらに強化し、鮮度とおいしさをより多くのお客さまへ迅速かつ安定的にお届けできる体制の構築を目指す。また、単なる商品の輸送にとどまらず、集荷・物流・販売が一体となった流通基盤づくりも進めていく」としている。
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このたび、物流ニッポンのホームページをリニューアル公開いたしました。
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