物流Gメン「監視月間」合同荷主パト、各運輸局で出発式
国土交通省と公正取引委員会が10、11の両月を、荷主企業や元請事業者に対してトラック・物流Gメンが重点的に監視する「集中監視月間」と定めたことを受け、1~8日、全国の各運輸局で「合同荷主パトロール」の出発式が相次いで開かれた。運輸局幹部らは、適正な取引環境の実現に向け、誇りと使命感を持ってパトロールに臨むようGメンらを激励した。(特別取材班)
合同荷主パトロールは、運輸局、公取委地方事務所、経済産業局などの関係機関が連携し、中小受託取引適正化法(取適法)の周知・啓発を図る取り組み。荷主企業や元請事業者の営業所、物流拠点などを訪問する。
出発式は1日の九州運輸局を皮切りに、2日に北海道、北陸信越、中部、四国、7日に東北、関東、8日には近畿、中国の各運輸局で開催された。
全国で最初となった九州運輸局の出発式には、大橋将太次長、公取委九州事務所の松本博明所長のほか、トラック・物流Gメン、九州各県トラック協会の調査員ら計38人が出席した。
大橋氏は「物流業界の健全な発展のため、重要な使命を担っている」と強調。松本氏も「現場の声に耳を傾け、適正な取引環境の実現を目指そう」と呼びかけ、両氏ともGメンや調査員に「誇りと使命感を持ってほしい」と期待を寄せた。
出発式後、7班に分かれて博多駅周辺でパトロールを開始。荷主企業や元請事業者43件を訪問した。内訳は発荷主20件、着荷主2件、発着荷主12件、元請事業者9件で、取適法などについて周知・啓発した。
全国で唯一、局長が出席した中部運輸局の出発式には、トラック・物流Gメンと愛知県トラック協会(青木均会長)の調査員、公取委中部事務所と中部経済産業局の職員総勢36人が参加。3班に分かれ、物流施設の多い愛知県小牧市、清須市、大口町などの荷主に向かう一同を前に、神谷昌文局長が「法改正の制度的な取り組みには、各局の連携がますます重要になっている。この関係強化が適正な物流の創設になるよう、誇りと使命感を持ってパトロールに向かうことを期待したい」と力を込めた。
東北運輸局では18人が出席した。自動車交通部の長内誠部長が「法令順守の必要性と取引環境の改善に向けたメッセージを発信する。誇りと自信を持って臨んでほしい」と訓示。同貨物課の渡邉哲朗課長補佐が「物流分野の取引の健全化に向けて全力で取り組む」と出発を宣言した。
Gメンらは関係者が見守る中、車両に乗り込み、仙台市近郊の荷主3件へのパトロールに向かった。
関東運輸局の出発式には、トラック・物流Gメンや東京都トラック協会(水野功会長)の調査員ら計48人が出席した。自動車交通部の佐藤直人部長は「皆さんの活動が物流の未来を変える力になる。強い使命感と誇りを持ち、職務を遂行してほしい」と激励した。
公取委事務総局経済取引局取引部の十川雅彦・取引適正化検査管理官は「物流分野の取引適正化は日本の経済成長のために必要不可欠。国交省との連携強化を図る」と述べた。佐藤氏と握手を交わし、両機関の連携をアピールした。
式典後は4班に分かれ、東京都品川、大田の両区の荷主40社へのパトロールに出発した。


愛媛県が2026年度、県と九州を結ぶフェリー航路の可能性に関する調査に乗り出している。四国4県と、鹿児島、宮崎の両県を除く九州5県のトラック協会会員事業者を対象にしたアンケートを、8月上旬から中旬にかけて実施。愛媛-九州の物流の実態を把握し、企業立地の政策に生かしたい考えだ。質問の項目や内容の作成に、愛媛県トラック協会(御手洗安会長)が協力した。(矢野孝明)
松山観光港と北九州市小倉北区の小倉港を結ぶ松山・小倉フェリーが、25年6月に廃止になったことが背景にある。県外との物流で利用できる航路の減少は、企業を誘致する上で魅力や競争力の低下につながりかねない。県の企業立地課では「四国と九州の間の物流の実態を定量的に調査・分析し、今後の施策の資料にするのが目的」とする。
四国4県と九州北部の福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の各県ト協を通じ、計6500者にアンケート用紙を配布した。8月上旬から21日に回収したのは全体の1割だった。一方、愛ト協では全会員の4割が回答し、関心の高さをうかがわせた。
九州との荷物の往来や荷主の所在地、荷物の種類といった基礎的な情報のほか、九州向けフェリー航路に対して希望する運航時間帯、所要時間、便数、船舶の規模など、30問で構成している。
この調査事業には、委員として、愛媛県をはじめ愛ト協、県内の経済団体、松山市、北九州市の担当者と、経済系の学識者が参画。委員である愛ト協の高木俊明理事は「トラック事業者にとっては、航送運賃はもちろんのこと、改善基準告示に沿った運行計画に有効であることがフェリー利用の大きなポイントになる」と強調する。
現在、愛媛県には九州間のフェリーとして、三崎港(伊方町)―佐賀関港(大分市)、八幡浜港(八幡浜市)―別府港(大分県別府市)、八幡浜港―臼杵港(大分県臼杵市)の各航路がある。所要時間は最も短い航路で片道1時間10分、最長では2時間50分、1日の便数は6往復から17往復で、いずれもトラックの利用が多い。
一方、廃止となった松山・小倉フェリーは、運航当時の所要時間は7時間5分で、両港とも出発が夜間、到着は早朝。1日1往復の運航だったのが、乗船者の減少や燃料価格の高騰、船舶の老朽化などを理由に、24年7月から隔日運航に減便していた。高木氏は「毎日運航しなければ、定期便のトラックの利用は難しい。所要時間も、1日の休息期間からみて中途半端だった」とみている。
フェリー利用に積極的な神山運輸(愛媛県松前町)の神山吏社長は「コストの課題は大きいが、航路を利用するために一番重要なのは、十分な荷物の量があるかどうか。現状では、愛媛と九州には経済圏のつながりが少ない印象だ」と指摘する。企業立地の優位性の現状を、示唆するかのような見解だ。
県では調査結果を取りまとめた後、12月をメドに委員会による会合を開く予定。委員からの意見などを参考にしながら、今後の方向性を見いだすための資料として活用していく。

依然として後を絶たない緑ナンバートラックの飲酒運転事故――。ドライバーや運送業界の社会的地位向上に向けた取り組みの一環として、近畿トラック協会(平島竜二会長)が2026年度から取り組んでいる、高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)での清掃活動を取材する中で、事故や取り締まりといった統計には表れない「隠れ飲酒運転」の実態や問題点が浮き彫りになってきた。(小菓史和)
近ト協の清掃キャンペーンのきっかけの一つとなったのは、昨秋に滋賀県トラック協会(松田直樹会長)が行った、名神高速道路上り線・伊吹PA(滋賀県米原市)での清掃活動だった。社会的問題となっている尿入りペットボトルを含む多量のゴミに混じって、酒類の空き容器が多数見つかったことに、関係者は大きな衝撃を受けた。
高速道路でのゴミのポイ捨て、SAやPAの清掃の実態について、西日本高速道路への取材を進めると、業務を受け持つグループ会社の担当者が「非常に申し上げにくいが」と前置きした上で、「SAやPAのゴミ箱には、酒類の空き容器も多数捨てられている。観光バスや乗用車も利用するので、全てドライバーではなく乗客が飲んだものだと思いたいが、それにしては量が多すぎる。(焼酎などの)大容量の酒類容器が捨てられていることさえある」と打ち明ける。
2026年4月以降、近ト協傘下の各府県ト協がSAやPAで行った清掃活動でも、トラックが多く駐車するエリア近くの緑地帯から、尿入りペットボトルや飲料の空き容器に混じり、酒類の空き缶やペットボトルが多数回収された。滋ト協が25年に続き伊吹PAで9月に行った清掃でも、大型トラックの駐車スペース近くから多数の酒類容器が見つかっている。
伊吹PAは、中部や関東に向かうドライバーの多くが休憩や仮眠を取ることで知られており、その際に飲酒している人が決して少数ではないことがうかがわれる。個人差があるとはいえ、例えば、500㍉リットルのビール(アルコール度数約5%)を飲むと、体内からアルコールが完全に抜けるまで最低でも3~5時間はかかるとされる。飲酒したドライバーの中には、アルコールが体内に残った「残り酒」状態で出発した人もいると思われる。全国のSAやPAで、こうしたことが日常的に繰り返されている恐れがある。
飲酒の習慣があるドライバーは、休日であっても十分な注意が必要だ。ある運送会社の社長は「仕事終わりや休日の一杯も許されないとすると、そんな職場が果たして人間的と言えるのか。そんな業界に労働者が来るだろうか」とつぶやく。ドライバーの労働環境改善に向けて法令の整備が進んだ一方で、まだまだ実態は全ての事業者が完全に順守できているとは言い難く、現場は依然過酷であることも事実だ。しかし、いかなる場合でも、飲酒運転は決して許されるものではない。
24年に群馬県で営業用トラックの運転者が飲酒運転で乗用車に衝突し、3人を死亡させるという痛ましい事故が起こったことは記憶に新しい。一審の前橋地裁は危険運転致死傷罪の成立を認め、法定刑の上限である懲役20年を言い渡したもののドライバー側は控訴、東京高裁で裁判が続くいている。
捜査が進む中で法令違反やずさんな点呼、過酷な勤務実態とともに、アルコールチェックを巧妙に逃れ、乗務中に飲酒していた実態も明らかになった。全日本トラック協会(寺岡洋一会長)や都道府県トラック協会では飲酒運転撲滅に力を入れているが、根絶への道はなお遠い。
隠れ飲酒運転をどのようにして防ぐのか。「プロドライバーなら絶対に酒を飲むべきでない」と極論するのは簡単だ。しかし、運送会社が就業規則に飲酒の全面禁止を盛り込んだとしても、勤務外も含めて飲むか飲まないかは結局、個人の判断による。たとえプロでも、一般ドライバーと同じように、飲酒については一人一人の自覚とモラルが頼りであり、従業員教育の効果に期待するしかないというのは、業界として何とももどかしい限りだ。
だが、例えそうだとしても、アルコールインターロック装置などハード面の対策に加え、厳格なルール順守と高いモラルをドライバーに求め続ける責任があることを、全ての運送会社が改めて強く自覚する必要がある。業界を挙げて襟を正していかなければ、ドライバーや運送会社の社会的地位向上はあり得ない。
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