中継輸送計画認定制度、30年度まで20カ所
改正物流効率化法(新物効法)に基づき創設される「貨物自動車中継輸送実施計画認定制度」では、トラックの中継輸送施設を整備する事業者に対し、税制特例や、資金出資・貸し付け措置、運行経費の補助などの支援を実施する。制度を所管する国土交通省は「2030年度までに20カ所」の認定を目指しており、不動産開発事業者や物流事業者による構想が今秋以降にも、全国各地で進みそうだ。(特別取材班)
計画認定制度は、トラックドライバーの不足や物流の効率化に向けてトラック運送事業者間の中継輸送を促進し、複数の事業者が貨物の積み替えなどを行う「特定貨物自動車中継輸送施設」の整備を支援する。事業の実施者が事業計画を策定し、国交相が認定。事業者は、中継施設の固定資産税などの課税特例や資金出資・貸し付け措置、運行経費の支援などが受けられる。これらの規定は改正法の公布から6カ月以内に施行するため、11月20日までに制度がスタートする。
中継輸送施設は、高速道路または物流の結節機能を持つ道路の近くに立地し、入浴施設を備えた待機所、ドライバーの疲労回復のための施設が併設されたものと規定。さらに、荷さばきスペースと設備、トラックの入退場を管理する装置、貨物の搬出入・仕分けを円滑化するための情報処理システムがあることを条件としている。
制度を所管する国交省物流・自動車局貨物流通事業課の貨物経営戦略室は、道路との距離や、施設・装置・システムなどの具体的な要件に関して「関係政省令で規定することになる」としている。関係政省令案は「意見公募の手続きや周知に一定の期間を設ける必要がある」とし、今夏にも公表する見通しだ。
中継輸送施設の整備は「30年度までに20件」というKPI(重要業績指標)は示されているが、「整備はあくまで民間や地方自治体の発意による」(貨物経営戦略室)としている。「貨物流動が多い区間の中間点から試算」したものの、地域や事業者のニーズを踏まえることが大前提のため「件数や整備するエリアなどの予断はない」と強調。なお、20件のKPIは施設単位で、例えば東京―青森、東京―秋田のルートが同じ施設を中継輸送拠点とする場合、1件としてカウントする。
中継輸送施設の整備の中核を担うと想定されるのが、物流不動産開発を手がけるデベロッパー。中継輸送拠点へのデベロッパーの関心について、不動産協会(吉田淳一理事長)は「これまでデベロッパーが事業として携わってこなかった分野なので、各社とも関係者への聞き取りなどを通じて手探りで検討を進めている状況にあるものと認識している。検討している会員はいると思うが、具体的事例までは把握していない」(広報担当)と話す。
日本GLP(帖佐義之社長、東京都中央区)は「現時点で制度を活用した中継輸送拠点として公表できる具体的な計画はない」(広報部)としている。その上で「中継輸送はドライバーの負担軽減や輸送効率の向上に寄与する有効な手段の一つ」として、十分な大型車駐車場の確保、ダブル連結トラック(全長21㍍超のセミトレーラ)の運行が可能な動線設計、トラックドライバーの就労環境向上のための施設環境整備(リフレッシュスペース、シャワースペース、無人コンビニエンスストアなど)を「同社開発の各施設で中継拠点として活用されるケースを想定した仕様を推進している」とする。
プロロジス(山田御酒会長兼CEO=最高経営責任者、東京都千代田区)は「制度の活用に高い関心を持っており、可能であればぜひ活用したいが、認定要件の全てが公になっていないため、具体的な計画はない」(広報室)とした上で、トラック事業者などの顧客の協力を得て「活用の可能性を探りたい」としている。
中継輸送拠点としての活用が有望なエリアについて、既存の盛岡(岩手県)、北上金ケ崎(同)、郡山(福島県)、東海(愛知県)、岡崎(同)、岡山(岡山県)は「今後も(中継拠点としての)引き合いが続くものと考えている」と言及。制度を活用した拠点の整備に関しては「トラック事業者の要望次第となってくるので、引き続き顧客と連携して検討したい」としている。
GLPは、中継輸送拠点の有望なエリアに関して「長距離幹線輸送の効率化という観点から、高速道路ネットワークの結節点や、複数の経済圏を結ぶ交通要衝が中継輸送拠点として有望」と言及。特に、中国エリアは「関西、九州、四国へのアクセスにも優れ、西日本全体をカバーする物流ネットワークを構築しやすい地域であることから、今後も重要性が高まる」と話す。
同社は、10年以上前から岡山県の総社市、早島町、広島市などで物流施設を開発してきた。開発当時はいずれも物流施設の集積が現在ほど進んでいなかったエリアで「中継拠点ニーズの拡大も見据えて先駆的に開発を進めてきた経緯がある」と強調。中でも「早島エリアは、山陽自動車道や瀬戸中央自動車道などへのアクセスに優れ、中国・四国・関西への交通結節点として高いポテンシャルを有している」とする。
また、首都圏と関西圏をつなぐ「中京圏も有望」として、特に東名高速道路・新東名高速道路沿線は、首都圏からの日帰り運行圏に位置付けられ、ドライバーの交代や貨物の受け渡しを行う中継拠点との親和性が高いと分析。さらに「実は滋賀県も、名阪の中間に位置し、両都市圏への広域配送における中継拠点との親和性があるエリア」としている。
物流事業者にも制度活用の動きがある。全国で中継輸送施設「TSUNAGU STATION」の開設を進めるセンコー(大越昇社長、大阪市北区)は「トラック事業者間の連携による中継輸送を制度面から後押しするもので、物流課題への対応策として、大変意義のある制度だと受け止めている」(広報担当)と指摘。その上で「認定制度について高い関心を持っており、今後、制度の詳細や認定要件、活用メリットを確認しながら、既存の取り組みとの親和性を検討する」としている。
同社は、浜松市や広島県東広島市など4カ所で「TSUNAGU STATION」を展開。福島県須賀川市の施設は、福山通運との協業で運用している。制度を受けた新拠点の計画については現時点で明らかにしていないが、各エリアのニーズを踏まえた拠点の新設や、既存拠点の機能強化などを含めて制度の活用の可能性を検討していく方針だ。
倉庫業者からは具体的な構想は聞かれないものの「制度について関心を持って情報収集を行っている」(三菱倉庫広報・IR部広報・IRチーム)など大手は制度の活用を模索しているとみられる。
整備の構想が具体的に進み出すのは政省令案で施設要件が判明してからになるが、貨物経営戦略室は「不動産開発業者のほか、倉庫業者、地方自治体などからは省令で示す要件に関する相談を受けている」としている。不動産協会は「建物固定資産税減免の対象範囲拡大、農地転用との連携、自動運転に対応する設備に対する支援」などを要望。民間や地方自治体の開発意欲を促すことができるか注目したい。


セイノースーパーエクスプレス(SSX、平井克昌社長、東京都江東区)は2031年3月期をメドに、売上高1千億円(26年3月期比51%増)を目指す。26年10月には熊本県で物流センターを稼働させて半導体の取り扱いを伸ばすとともに、重量物やイベント関連品などの特殊輸送や、国際物流の強化も図る。採用増やブランディング力向上に向けた対外的な発信にも注力する。
売上高1千億円の実現へ「採用の定着・強化」「国際」「特殊輸送」「新商品開発」など六つのワーキンググループを設置。全社一丸で取り組みを推進する。
ドライバーの確保は順調に推移。25年はドライバー以外も含め350人を採用し、24年比で2倍以上に増加した。今年は400人を目指す。
各営業所での採用に当たり、入社から半年間は人件費を本社で負担する制度を導入。人員増による一時的な収支悪化を懸念してためらっていた営業所も、積極的に採用する流れにつなげた。社員による紹介制度や採用ページの刷新も奏功した。
対外的な発信にも注力する。今年4月には新たに広報課を置き、SNSを通じたPRを推進。広報課の担当者は現状1人だが、今後拡充していく。
物流事業では、半導体や電子部品の取り扱い拡大を図る。10月、熊本県菊池市でSSX熊本ロジスティクスセンターを開設。延べ床面積は1万8千平方㍍で、半導体関連企業の進出が進む熊本県で需要を取り込む。半導体や電子部品を取り扱うセンターは今後も構えていく計画だ。
国内航空貨物に強みを持つが、輸出貨物に関しても拠点を増やしての取り扱いを広げる。重量物やイベント関連品などの特殊輸送では、4月に広島県で拠点を開設。今後、北陸や東北エリアにも構えたい考えだ。
平井社長は「倉庫開設だけでなくサプライチェーン(供給網)全体を対応していく」と話す。(土屋太朗)

ナブアシスト、運輸DXラボ本格始動
ナブアシスト(江口大介社長、前橋市)は運送事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)対応を支援するための情報サイト「運輸DXラボ」の本格運用を開始した。これまで同社は自動点呼やドライバー勤怠管理、配車から収支管理までの基幹業務システムなど、複数の運送業界向けサービスを提供してきた。個別導入ではDX導入の効果が限定されるため、統合運用による効率化に関する情報発信を7月から開始。ビッグデータから生成AI(人工知能)活用によるコンサルティングを強化していく。(佐々木健)
新サイトで情報提供するのは、基幹業務システムの「Navisia(ナビシア)運送販売クラウド」、勤怠管理の「ナビシア乗務員時計」、自動点呼に対応した点呼支援システム「点呼+(プラス)」、運行支援の「ITP-WebService V3」の各サービス。全てがクラウド型サービスで、導入から運用までの期間・工程を短縮している。
現場での過去の知見を、蓄積したリアルタイム・データで補強しながら、運送業界のDX最適解を確立することを目指す。新サイトでは、自動点呼から勤怠管理、運行支援、基幹業務システムの連携により、何が変わるかを導入事例とともに紹介している。さらに記事コンテンツとして、業界で「今知りたい」と思われるコンテンツを追加していく。
ユーザーの中には「過去から活用している基幹系があり、それは使いたい」という要望もある。そうしたユーザーには「一芸」として個々のサービスを提案する。
今後、四つのサービスには法令改正に対応した新機能、ユーザーからの提案に対応した改装を進める。新サイトはそうした情報提供とともに、運送業界のDX導入に関する情報の発信源として活用していく。
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物流ニッポンからのお知らせ
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このたび、物流ニッポンのホームページをリニューアル公開いたしました。
これまで2つに分かれていたホームページを1つに統合し、より分かりやすく、情報を探しやすい構成へと刷新しております。
また、紙面に掲載している記事を閲覧いただける数が大幅に増えました。
今後も利便性の向上と情報発信の充実に努めてまいりますので、ぜひご覧ください。 -
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