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政治・行政

国交省、物流のスキル・キャリア見える化へ

国土交通省は、物流の担い手不足に対処するため、業界でのスキル・キャリアの「見える化」に取り組む。ドライバーなど従事者の技能・経験に応じた適切な処遇につながるシステムの構築を目指し、物流と同様に労働力不足が深刻で、現場での労働がほとんどを占める建設業界で稼働している「建設キャリアアップシステム(CCUS)」をモデルとして想定。システムの具体化や運営体制構築に向けた調査と検討に2027年度から着手する方針だ。(田中信也)
8月27日に発表した27年度予算概算要求で、物流・自動車局は「持続可能な物流の実現に向けた人材の確保・育成」のための事業に3億5千万円を計上。エッセンシャルワーカーとして物流の中核を担うトラックドライバーや倉庫作業員などの深刻な担い手不足に対処するための環境を整備する、としている。
労働者が持つ知識、免許などの技能、その他の能力についての公正な評価に基づく処遇を確保するため、物流業界でのスキル・キャリア可視化に向けて調査、検討する。業界内や他業界の状況を整理し、産業政策の観点から在り方を検討する方針で、具体像は示されていないが、事業を所掌する貨物流通事業課は「(建設)『CCUS』が発想の元で(検討に当たっての)参考にしていく」としている。
建設業界は、現場を担う技能者の不足の解消、特に若年層の就業を進めるため、生涯を通じて魅力的な職業・産業であることを目に見える形で示していくことが課題となっている。しかし、異なる事業者のさまざまな現場で働いている個々の技能者を評価する業界横断的で統一的な仕組みがなく、個人のスキルアップが処遇の向上につながっていないという業界の構造的課題が存在する。
このため、国交省不動産・建設経済局と建設業界団体は15年に官民コンソーシアムを立ち上げ、建設技能者の経験が蓄積されるシステムの構築を表明。建設業振興基金(谷脇暁理事長)が運営主体となり、システムの開発に着手した。19年4月に「CCUS(Construction Career Up System)」を本格稼働させた。
CCUSは、技能者の保有資格や社会保険加入状況、現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積して活用するシステム。本人情報、保有資格、加入する社会保険などの情報を登録した技能者にカードを交付し、技能者が現場へ入場する際、リーダーにカードをタッチすることで履歴が蓄積される。
蓄積されたデータに基づき、経験や資格に応じた能力評価が可能になることで、適正な賃金の支払いなど技能者の適切な処遇が可能になる。こうしたシステムの運用によって処遇改善を進めることで、若い世代がキャリアパスの見通しを持ち、技能者を雇用して育成する事業者に人が集まるようにすることを目指している。
また、社会保険加入の確認や施工台帳の作成といった現場管理の効率化による生産性向上も目的で、労働者と事業者の双方の能力を可視化できる枠組みと位置付けられている。
CCUSの登録者数は26年2月時点で180万1449人と、全建設技能者(300万人)の6割に達しており「稼働から7年間で半数以上に達したことは順調」(不動産・建設経済局建設振興課)と評価する。ただ、登録者一人当たり平均の月間履歴数(リーダーにタッチした日数)は「3、4回」で「しっかりと履歴が反映できていない」といった課題も浮き彫りとなっている。
こうした課題は「カードリーダーを設置できない現場環境や、高齢のためキャリアパスに関心がない技能者が少なくない」ことが要因とみられる。現場環境に関しては、システムを提供するベンダー各社が端末の無償提供、スマートフォン対応のシステム開発を進めるといった利用向上のための取り組みを推進している。
物流業界でのスキル・キャリアの可視化に当たり、CCUSの設計思想やプロセス、さらには運用により表出した課題を参考にしていくことで、労働者の処遇改善と業界の魅力向上に貢献するシステム構築につながるとみられる。

福岡運輸ホールディングス(富永泰輔社長、福岡市博多区)は1日、福岡運輸(同)を通じて、冷凍・冷蔵輸送を強みに山陰地方で物流サービスを展開する上田コールド(上田広美社長、島根県出雲市)と関西上田コールド(同、神戸市東灘区)の全株式を8月31日に取得した、と発表した。両社の社長には、福岡運輸グループの札幌定温運輸(浦田昭蔵社長、札幌市西区)の平山真也前社長が就任し、上田氏は会長となった。(武原顕、矢野孝明)
今回のM&A(合併・買収)に伴い、定温物流のノウハウと地域に根差した物流基盤を生かし、さらなる事業の拡充を図る。取得金額は公表していない。
福岡運輸は、食品の冷凍・冷蔵輸送の全国ネットワークを構築し、全国主要拠点に物流センターを置いており、M&Aによる事業戦略を加速させている。2026年3月期の売上高は617億円。従業員1749人(26年3月末時点)、保有車両1014台(同)となっている。
一方、上田コールドは1993年11月の設立で、山陰の冷凍・冷蔵物流ではトップ。売上高31億9500万円(2025年8月期)、従業員182人で、冷凍・冷蔵車など152台を保有し、山陰地方(出雲・米子・鳥取)に物流センターを構える。冷凍・冷蔵品を中心とした商品の保管・荷役などを行うほか、保税倉庫も保有。食品以外にITや医療関連の製品を取り扱い、鳥取、島根の両県の多様な物流ニーズに対応しながら地域経済を支えている。
また、関西上田コールドは1998年11月設立。近畿地方で食品の冷凍・冷蔵品の輸送・保管に取り組む。売上高3億9500万円(2026年3月期)、従業員17人で、中型・大型の冷蔵車11台を稼働させている。
今回のM&Aに関し、上田氏は「お互いの成長戦略を進めるため」とし、シナジーに期待感を示している。
福岡運輸HDは「両社の事業基盤と地域とのつながりを大切に、より安定した物流サービスを提供して多様なニーズに応えたい」とし、物流品質の向上と利便性の高いサービスを強化していく。

東京都板橋区とブルーイノベーション(BI)は1日、平時と有事を分断しない持続可能なドローン運用モデルの形成・社会実装に向け、都市型実証フィールドなどの構築を目的とした包括連携協定を締結した。防災分野に加え、インフラ点検、物流など板橋区が抱えるさまざまな課題の解決や、地域産業を振興する観点で、実証・検証から運用、社会実装までを段階的に推進。都市型ドローン社会実装の「板橋モデル」を構築し、全国へ展開していく。(田中信也)
協定は、区内に研究・実証拠点を構え、板橋ドローンフィールドの運用など地域に根ざした取り組みを進めてきたBIと板橋区が双方の連携をより強化し、防災、産業振興、インフラ、人材育成など幅広い分野へと発展させていくのが目的。ドローン運営事業者・団体と地方自治体との災害時の支援活動に関する協定締結は全国に拡大しつつあるが、産業振興や平時の課題解決も含めた包括連携協定は全国でもほとんど例がないとみられる。
両者は、ドローンをはじめとする先端技術を活用し、板橋区での新産業の創出や地域経済の活性化、地域課題の解決に向けて幅広い分野で連携。具体的には、区内で行うドローン実証実験の受け入れ・実施環境の整備や、都市部での安全な飛行と運用に向けた検証を進めるとともに、区内企業とドローン関連企業による連携、スタートアップ支援事業や研究機関との共創を通じ、新たな技術・サービスの創出を目指す。
協定に基づく取り組みの総称として「ITABASHI SKY LINK PROJECT」を掲げ①防災・安全②インフラ・環境③物流・移動④産業・人材――の各領域を活用領域として位置付ける。物流・移動では、物資輸送など地域の暮らしを支える新たな手段としてドローンの活用を検証する、としている。
これら4領域は個別に進めるだけでなく、実証で得られた技術、データ、運用ノウハウ、人材を横断して活用することで、ドローンが平時から地域社会を支え、有事にも機能する都市型の社会実装モデルの構築を目指す。
例えば、物流に関しては災害時に不可欠となる物資や運営体制などを想定し、平時の輸送にも取り組んでいく。
具体的な取り組みについては、優先度を踏まえ段階的に進めていく方針で、2027年度から実証に着手する見通しだ。
同日、板橋区役所で締結式が行われた。坂本健区長が「災害時の活用にとどまらず、平時からの実証運用を通じて防災、インフラ、物流など地域の課題の解決や産業振興、人材育成につなげ、ドローンの継続的な社会実装を目指していく」、BIの熊田貴之社長は「平時から地域に役立ち、その仕組みが有事にも機能する都市型ドローン活用モデルを区民の皆さんと共につくっていきたい」とそれぞれ抱負を述べた。

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