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政治・行政

物流特殊指定改正案で経団連が「荷待ち除外」要望、運送関係者など反発の声

着荷主の違反行為を規制の対象に追加する独占禁止法上の物流特殊指定の改正案に対し、経団連(筒井義信会長)が「荷待ち」の対象からの除外などを要望したことについて、トラック運送関係者などから強い反発の声が上がっている。一方、公正取引委員会が行った改正案に関する公聴会では、トラック業界の労使に加え発・着荷主の業界団体なども公述したが、規制自体に反対する意見はなかった。荷主を対象とする矢継ぎ早の規制強化が実務対応に混乱を来さないよう留意した上で、着荷主への規制という「空白」を埋めるための理解の醸成や連携体制の構築に官民を挙げて取り組むことが必須と言える。(田中信也)
2027年4月に施行を予定する物流特殊指定の改正案に対し、経団連は4月13日、意見を提出するとともに、公式サイトで公表した。
荷主による違反行為の追加に対し、実務上の適切な運用が行われるよう求めるのが意見の趣旨。協議に応じない荷主による代金の一方的な決定や、運送以外の役務の提供に関する禁止行為を明示することなどとともに「荷待ち」を規制対象から外すよう求めた。
経団連は、物流での荷待ちを、発荷主、着荷主、トラック事業者など複数主体の関与で発生する「複合的な現象」として「業務の実態に即していない」「過度な規制はかえって実務の混乱を招く」と指摘した。
その上で、長時間の荷待ちは、物流効率化法(新物効法)やトラック・物流Gメンによる是正指導により「業界全体で改善に向けた取り組みが既に進められている」と説明。物流特殊指定で同様の規制を重ねることは「規制の実効性を低下させる恐れがある」として「適用対象から除外する旨を明確化すべき」と言及している。
荷待ち除外の要望は、トラック事業者などからの反響が大きかった。概要を紹介した本紙ニュースサイトやⅩ(旧ツイッター)の公式アカウントも、これまでに例のない閲覧数を記録。多くの引用投稿も寄せられたが、経団連に対する批判の意見が大半を占めた。
野々市運輸機工(金沢市)の吉田章社長は「『荷待ち』をまるで天災のように語るのはやめてほしい。荷待ちは人為的な問題であり、解決できる。それを規制対象から外すよう求めるのは完全な責任逃れだ」と厳しく批判した。
業界の課題を積極的に発信している兵庫県のトラック事業者の運行管理者も「(経団連の傘下企業が受けてきた)無償待機・無償荷役などの恩恵分を支払ってから言ってほしい。『自分のことを棚に上げて』の典型例だ」と主張。「荷待ちの多くは荷主側がコントロール可能で、それを『責任が分散している』で済ませられるならば、誰も責任を取らない構造が残り続ける」と指摘した。
物流特殊指定の改正案について、公取委は意見公募に加え、公募終了の翌日となる4月14日に公聴会を行った。
公聴会には、全日本トラック協会(寺岡洋一会長)、運輸労連(成田幸隆委員長)のトラック業界労使団体に加え、全国中小企業団体中央会(森洋会長)、日本自動車工業会(佐藤恒治会長)と、中堅スーパーマーケットがサプライチェーン(SC、供給網)の物流効率化を目的に組織したSM物流研究会(渋谷剛座長)などが公述を行った。なお、経団連は参加していない。
全ト協は平島竜二副会長が改正案に賛成の立場から意見を述べた。国土交通省の調査結果を紹介した上で、トラックドライバーの1運行当たりの拘束時間のうち「荷待ちと荷役の時間で3時間を超えている状況で、こうした長時間の荷待ちや契約にない付帯業務が長時間労働につながっている」と指摘した。
その上で、その内容に対し「着荷主の意識改革や商慣行の改善がなされ、ドライバーの労働環境改善・SC全体の取引適正化が図られることが大いに期待される」として「改正案の内容で進めていただきたい」と要請。そのほかの団体からも改正案そのものに反対する意見はなかった。公取委は公聴会での公述や意見公募に寄せられた意見も踏まえ、6月に物流特殊指定の告示を改正する。
荷待ちの規制除外を求める経団連の主張に対し、物流業界からの反発が大きいことは当然だが、着荷主を違反主体として規制の対象とすることは初めてのケースのため、影響の大きさを懸念する荷主企業は少なくない。ある荷主企業のCLO(物流統括管理者)は「物流効率化法(新物効法)に加え、トラック適正化2法や、中小受託取引適正化法(取適法)、さらには物流特殊指定まで見直され、それぞれが所掌が異なるのは混乱を招く。制度を整理整頓すべき」と本音を口にする。
貿易商社・団体を中心とする日本貿易会(安永竜夫会長)の物流委員会も公取委の意見公募で「荷主に対する法規制が分散して提示されると、結果として規制の全体像が把握しづらくなり、実務対応にも混乱が生じる」と指摘する。
一方で、規制除外を求めるのではなく「事業者による適切な理解と自主的なコンプライアンス(法令順守)対応を促進する観点から、各制度の対象取引、規制対象者、禁止事項・義務、相互の適用関係を整理した解説資料の公表」を要望している。
取適法でカバーされない着荷主による違反行為を対象とする物流特殊指定の改正は「規制の空白地帯」を埋めるもので、これまで存在しなかった規制への荷主側の戸惑いも理解できる。実務対応上の懸念や不安を払拭しつつ、着荷主を含む全ての利害関係者が連携して、物流の不合理を改善していく機運を醸成する仕組みづくりに官民を挙げて取り組むことが求められる。

フジトランスポート(松岡弘晃社長、奈良市)は、2026年度中に大型冷蔵・冷凍車両を新たに40台導入し、温度管理の輸送体制を一層強化する。2層式車両を採用して異なる温度帯を同時に扱う。通常よりも長い全長10㍍の荷台を採用することで積載効率を高め、徹底した温度管理輸送サービスを提供する。
設定可能な温度は零下30度から25度で、冷凍、チルド、定温、加温と商品に合わせた温度管理に対応できる。リアルタイム温度管理システム「ドコマッププラス」を使って荷台内部の温度を常に把握し、異常時にもすぐに対応できる体制を整備。また、荷台の仕切り板で前後を区切り、異なる温度帯の貨物を輸送できるようにした。
コスト削減と労働環境の改善のため、T11型(1100㍉×1100㍉)パレットを18枚積載可能な荷台の全長が10㍍仕様の冷蔵・冷凍車両を採用。1台当たりの積載効率を高めることによって車両台数と人員の削減につながり、輸送効率を最大化する。さらに、全国5拠点のコールド専門支店とフジグループの支店のネットワークを活用して、空荷にならないように3拠点を移動する「三角運行」を組み込むことで、輸送の効率を高め、拘束時間の短縮と稼働日数の適正化を推進している。
コールド事業部の松浦悟部長は「コールド事業部は発足から6年と比較的新しく、勢いのある部門。食品輸送を中心とした温度管理輸送のプロフェッショナルとして専門性を最大限に生かした体制づくりを今後も加速させる」としている。(中川美咲)

泉海商運(岡山健治社長、大阪府和泉市)グループは、AI(人工知能)搭載型ドライブレコーダーを導入し、事故防止対策を強化している。車内カメラが内蔵されており、ドライバーの動きをAIが予測・分析し、脇見運転や居眠り運転などの危険な行為があった場合に警告音を鳴らすなどして、事故の予兆を検知する。さらに、録画された映像やデータを活用して具体的な安全指導に生かしている。(根来冬太)
グループ全車で600台(シャシーを除く)と保有車両が増え、事故防止の重要性が高まる中、Nauto Japan(ナウトジャパン、赤井祐記社長、東京都千代田区)のAI搭載型ドラレコを2025年11月から順次導入し、26年3月にほぼ全車への設置を完了させた。
AIでドライバーの動きを予測・分析し、脇見運転や、運転中にスマートフォンを使用する「ながら運転」といった危険な行為があった場合に警告音を出す。危険運転の映像は自動的にクラウドにアップロードされ、脇見の回数などのデータが残るので、安全指導に生かせる。
これにより、重大事故を誘発する要因の芽を摘むことで、事故が大幅に減った。眠気で運転がしばしば不安定になっているドライバーは夜から昼に、長距離から地場の運行に変更するといった対策を取っている。事故を起こしたときも、ドライバーがどこを見ていたか、何をしていたかが分かり、具体的な指導の根拠を得られる。
ただ、車内録画に抵抗のあるドライバーもいる。ナウトのシステムは運転が止まれば録画が切れるためプライバシーは確保されているが、誤解や混乱を招かないよう、各営業所に対応を任せるのではなく、本社の管理部門主体で全国のドライバーへ直接説明に回った。
業務部の勝本篤史部長代理は「監視するためのものではなく、隣に運転助手がいるようなイメージをしてほしいと伝えつつ、事故の写真を見せながら『これ以上仲間を傷付けたくない』と説明した。『きちんと運転しているから逆に大歓迎』『運転は仕事だから見られても仕方がない』という考えの人もいた」と振り返る。
それでも、着替え時などに「カメラに見られているようで気持ち悪い」と感じる事情を考慮し、運転していない時にカーテンを閉めるなどしてカメラを隠すことは禁止していない。これらの取り組みの結果、導入後もトラブルはないという。
さらなる事故防止効果のアップに向け、業務部の伊藤巧次長は「アラート音に慣れ、危険な運転行為を繰り返しても気にしない人が出てくる恐れがある。ただ、映像は残っているので、その後の安全指導で繰り返し注意することが重要だ。これまではどんな運転をしているか把握しにくかったので、この進歩は大きい」と話す。
事故削減に特化した「安全推進部」を25年6月に立ち上げた。勝本氏は「大型車両の事故は社会に大きな影響を及ぼしてしまう。事故を未然に防いで被害者を出さず、ドライバーの命も守り、胸を張って運送サービスを提供していきたい」と強調する。

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