全ト協会長、熊本地震の被災地訪問
全日本トラック協会の寺岡洋一会長は18日、熊本地震の緊急物資輸送拠点・グランメッセ熊本や、ガス爆発事故が発生したイオンモール熊本など被災地を訪ねた。また、復旧復興に役立ててもらおうと、熊本県トラック協会の下川公一郎会長にトラック業界を代表して見舞金300万円を贈った。(武原顕)
同日午後1時、寺岡氏、全ト協の山崎薫専務、総務部の長嶋英一次長がグランメッセ熊本に到着。初動対応をはじめ、刻一刻と変化する支援物資の入出庫管理や県など自治体との連絡体制、避難所へのラストワンマイル配送の状況報告を受けた。
下川氏と熊ト協の井上智専務が、国のプッシュ型による支援物資の受け入れや、国、県などとの連絡体制のミスマッチで初動対応が混乱したことを報告。下川氏は「県、被災地の自治体の指示命令系統が一元化されておらず、現場で混乱したのは否めない」と言及。さらに、10年前の熊本地震を振り返り「自治体の人事異動によって、大規模災害の危機管理を経験した職員が少なくなっていた」と憂いた。
一方、飲料水、食料品、医療物資、ブルーシートなど多くの支援物資であふれる拠点を前に、寺岡氏は「国と地元自治体との連絡・協調体制が不十分だったため、初動対応で混乱したことは理解できた。10年前の熊本地震の教訓が生かされたとは言えない」と、険しい表情で被災地への思いを語り、グランメッセで運営を担当する県職員、日本通運(竹添進二郎社長、東京都千代田区)のスタッフ、熊ト協職員をねぎらった。
引き続き、熊ト協で見舞金の贈呈式が行われた。井上氏が会員事業所や地元の大手荷主企業の被災状況、高速道路や県内主要道の通行止めによる広域う回について説明するとともに、熊ト協の職員がお盆休みを返上して県内3カ所に出向いて活動していること、3週間が経過してようやくスムーズな支援体制に移行したことを伝えた。
寺岡氏は、全国各地で多発する大規模災害に触れ「国土交通省をはじめ関係者に浮き彫りとなった課題を報告する。引き続き、大規模災害に備えるための連絡・協調体制の在り方について、見直すべき点を見直していきたい」と述べた。


極東開発工業は20日、8月から本格稼働させた「極東グループテクニカルセンター」(愛知県豊田市)の竣工式典を開いた。グループの研究開発を担う新たな中核拠点として「はたらくクルマ」の研究開発体制の強化とさらなる品質向上の実現を目指す。建設にはグループの日本トレクス(山本英城社長、豊川市)も投資し、総工費は107億円。全長600㍍のコースはダブル連結トラックなどトレーラのブレーキ制動力試験を中心に活用する。(梅本誠治)
同センターは、17万4200平方㍍の敷地の中心に石畳を再現したベルジアン路や左右の変化する位相を模した長波形路、自由に突起量を変えられる可変突起路など厳しい道路環境の試験が可能な全長600㍍、幅50㍍のコースを配置。建屋は、三つの試験棟と試作・検査に対応する工場棟、開発・品質保証部門が集う3階建ての事務所棟で構成する。
全国の各拠点で培ってきた技術や知見、研究開発に携わる人材を集約することで、研究開発の質とスピードを高い次元に押し上げていくとともに、車両や製品の試作から部品単位の試験、車両全体の耐久評価や実車走行の確認まで、一貫で行える環境を整えた。
また、開発部門と品質保証部門を同一拠点に配置することで設計・試作・試験・評価・改善のサイクルを迅速化。多様な製品分野の専門技術者が連携することにより、新たな技術や製品の創出も促進していく。
式典で、布原達也社長は「当センターは、2030年に向けた長期経営計画で掲げる『グローバルメーカーになる』ための要であり、技術を礎とする当社にとって核となる施設。社会に役立つ革新的な新製品を提供し、世界に冠たる特装車・トレーラメーカーになっていきたい」と抱負を述べた。
テープカット後の体験・見学会では、トレーラサイズの車両が実際の道路を走行した際の振動評価を可能にする日本初の大型ロードシミュレーターを導入予定であることを報告。また①温度・湿度などの環境条件、振動・負荷を測定できる機材②製品の性能と耐久性を評価する設備③振動試験を24時間行える試験棟④試作・検査・安全管理を集約した工場棟――について説明した。
愛知県経済産業局の川出仁史局長は「県の産業競争力強化減税基金を原資に企業立地と研究開発を支援する補助金を活用してもらった。最先端の施設が、産業と暮らしを支える技術革新の中核になることを祈念したい」と祝辞を述べた。
日本自動車車体工業会の冨山隆会長も「自動車産業が変革期にある中、多様化する顧客ニーズに対応するための研究開発だけでなく、次世代を担う新たな製品を生み出し、業界全体の発展に寄与されることを期待している」とエールを送った。

計測健康啓発協会(A-HAM、望月計理事長)とモビリティサービス協会(MSA、中島徳至理事長)は19日の記者会見で、飲酒運転の防止に向け、アルコール検知器と連動して車のエンジンを制御する「アルコール・インターロック」の安全性や信頼性を評価する共同認証制度を開始することを発表した。アルコール検知だけでなく、酒気帯びを検知した際に車両を動かせない制御まで一体化し、飲酒運転を仕組みで防ぐことを目指す。(宮﨑茉里奈)
共同認証は、A―HAMが専門のアルコールの検知・計測と、MSAが専門とする車両制御、社会実装を組み合わせたもの。アルコール検知器、システム連携、アルコール・インターロック装置までを一連の仕組みとして評価する。アルコールを正しく検知できるか、検知結果と車両制御が適切に連動するか、走行中など危険なタイミングで制御が作動しないかといった点を確認する。
2025年の飲酒運転による交通事故は2283件で、死亡事故率は飲酒なしの場合と比べ6・9倍に上る。運送事業者ではアルコール検知器を活用した点呼などの対策が進む一方、検知後の最終的な運転可否の判断は管理者に委ねられている。
スマートフォンとアルコール・インターロック装置を連携させ、ドライバーが呼気を測定し、アルコール濃度が0(ゼロ)であることを確認できなければ車両のロックを解除できない仕組みを構築する。なお、呼気測定はエンジンを始動するたびに行う必要はなく、運送事業者ごとに測定間隔を設定できる。検知結果を管理者が確認して運転可否を判断する方法から、人を介さず自動的に運転を禁止する仕組みへの転換を図る。
認証制度を開始することで、正確な計測と情報セキュリティー対策がされた車両制御をつなぐ安全性や信頼性を確認し、安心して導入・運用できる環境の構築を目指す。
全日本トラック協会(寺岡洋一会長)とも連携し、6社の運送事業者のトラックに認証品のアルコール・インターロック装置を取り付け、使い勝手や運用上の課題、現場のニーズを把握するモニター調査を実施する。
さらに8~9月には、宮城、東京、三重、大阪、香川、福岡の各都府県トラック協会で飲酒運転根絶セミナーを開催。アルコール問題や健康管理、アルコール検知器、アルコール・インターロックに関する情報提供や実機デモを行い、各会場で得られた意見を今後の施策に反映する。
現在、認証を受けている機器は、中央自動車工業(坂田信一郎社長、大阪市北区)のアルコール検知器と、ユビテック、東海理化の遠隔制御デバイス。今後、認証対象を広げながら、検知、制御、教育を組み合わせた飲酒運転防止策の社会実装を進める。
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