アイシー物流、豪雨で大被害も全国から励ましの声
アイシー物流(吉川浩史社長、福井市)は8月末の集中豪雨で本社と隣接する倉庫が浸水し、事業継続が危ぶまれるほど大きな被害を受けた。被災から2カ月が経過し、吉川社長は「一時は絶望したが、全国の人々から励ましの声を頂いた。今後も頑張って物流事業を続けたい」と話している。
8月30日早朝、気象庁は福井県の3市(福井・勝山・大野)にレベル5の大雨特別警報を出した。午前までに観測された24時間降水量は、福井市の多いところで318・0㍉に達し、過去最多を記録した。
アイシー物流本社は近隣の住宅地からやや低い場所にある。大雨で近くの川がはん濫したため、水はまたたく間に社屋と倉庫へと押し寄せた。吉川氏が駆け付けると、本社敷地は腰の高さまで冠水していた。日曜日の早朝で本社に社員はおらず、人的被害が出なかったことが不幸中の幸いだった。
10月21日、本社1階の社長室。吉川氏は壁の一部を指さし「水位がここまで上がっていた。本社だけでなく倉庫も浸水し、預かっていた荷物の多くに被害が出た。事業を継続するどころか、会社存続に関わるピンチだと途方に暮れた」と明かす。
置いていた車両の被害も大きかった。営業車2台は完全に水没して廃車を余儀なくされ、25台のトラックもタイヤがほぼ隠れるほど水に漬かっていた。車高が低い2㌧車はエンジンルームまで水が入り、中型以上の車両もライトなどの電気系統がダメで、修理が必要な状態だった。
被災した当日のテレビニュースで、アイシー物流の被害状況が報じられた。その直後から、吉川氏の携帯電話の着信音が鳴りやまなくなった。テレビで知って心配した全国の同業者や荷主企業、取引先からの電話で、異口同音に励ましの言葉をもらった。中には見舞いに訪れる人もいた。
こうした反応に対し「100件単位で数えきれないほどの電話をもらった。失意の中で大きな力になった」と振り返る。社員総出で復旧作業を行い、本社1階の床も自分たちで全て張り替えた。倉庫では、水を吸って異常に重くなった繊維製品の荷物を、連日深夜までかけて屋外に運び出した。
集中豪雨から2カ月がたち、本社と倉庫は復旧が進んで日常業務はほぼ平常通りに戻っているものの、廃棄物処理の申請手続きなど、まだ細かい後始末が残っている。最終的な被害総額はまだ分からないが、事業経営への影響は必至だ。
吉川氏は「人手不足や労働時間規制といった課題がある中で、新型コロナウイルス禍などの危機も乗り越えてきたが、企業努力を一瞬で吹き飛ばす自然災害の恐ろしさを改めて思い知った」と強調。
その上で「たくさんの皆さんからの励ましと見舞いで、前に進む勇気が湧いてきた。総出で本社の復旧に当たってくれた従業員にも、心から感謝している。結局、経営者一人では何もできない。今年も残り少なくなったが、来年はきっと良い年になるはずだ」と、笑顔を見せる。(星野誠)


DHLジャパン、EV導入を推進
DHLジャパン(トニー・カーン社長、東京都品川区)は2050年までに温室効果ガス排出量をゼロとするDHLグループ全体の目標の実現に向けた取り組みの一環として、EV(電気自動車)の導入を進める。22日に国内で51台目となるEVの納車式を行った。
グループでは環境対策に向けた取り組みとして①30年までにラストマイル集配車両の66%電動化②輸送に使うSAF(持続可能な航空燃料)の混合率30%③21年以降に建設する全施設のカーボンニュートラル対応――を掲げている。
また、30年までにCO2(二酸化炭素)排出量を2900万㌧未満に、50年にはゼロにすることを目標にしている。DHLジャパンでも同様に取り組みを進めており、27年までに、さらに10台以上のEV導入を目指す。
導入した車両はフォロフライ(小間裕康社長、京都市下京区)の「F11VS」。最大積載重量は1050㌔で、充電1回での航続距離は479㌔。拠点の東京ディストリビューションセンター(江東区)から、港、千代田、中央の各区への集荷配送を行う。
東京ディストリビューションセンターには、屋上に4千平方㍍の太陽光パネルを設置している。施設の消費電力量の20%を賄っており、EVの充電にも活用する。
車両の導入に当たっては、5月ごろから協議を始め、積載量や航続距離といったスペック面を評価した。
同日、カーン社長は「これからもEV化を一歩ずつ進めていく。増えれば増えるほど、ロジスティクスリーダーであるDHLとして社会貢献ができる。顧客からもサステナブル(持続可能)なソリューションを提供している会社と取引したいと関心を持たれている。これからもどんどん増やす」と強調した。
また、小間社長は「経済合理性が立つような安い車を提供しないと、本当のエコ環境にはならない。われわれは、水平分業で複数の自動車メーカーで一つの車体を造り、大幅なコストダウンを実現している。こうした形で、街中の、世界中の風景を変えたい」と話した。(加藤紀之介)

ドラコン全国大会、久保寺選手が総理大臣賞
全日本トラック協会(寺岡洋一会長)が主催する全国トラックドライバー・コンテストが24、25の両日、茨城県ひたちなか市の自動車安全運転センター(檜垣重臣理事長)安全運転中央研修所で行われ、11トン部門の久保寺哲也選手(日本通運東京支店)が983点で日本一のプロドライバーに贈られる内閣総理大臣賞を獲得した。NXグループは3連覇となった。11トン、トレーラの両部門で日本通運が制した。4トン部門で国分勇治選手(西濃運輸福島支店)、女性部門では岡部桃子選手(F-LINE北関東支店)が優勝した。(木村玲哉)
全国で千人を超える出場選手の中から予選を勝ち抜いた各都道府県の代表選手140人が、業務で培った技術や知識を競い合った。
26日の表彰式後の記者会見で、久保寺氏は「ドラコンへの出場は初めてで、まだ優勝の実感も湧いていないが、指導いただいた教官や職場の仲間、そして家族に喜びと感謝を伝えたい。日頃から初心を忘れず当たり前を当たり前にできるように心がけている。それが競技に生かされたと思う」と話した。今後については「この大会に出たいドライバーは多い。自分が学んだやり方を後輩たちに伝えていきたい」と述べた。
トレーラ部門は片桐拓哉選手(日本通運神戸支店)が1位となった。各部門の優勝者は警察庁長官賞も受賞。中小企業の中で総合得点が最も高かった選手に贈られる国土交通大臣賞は、11トン部門の笹谷知司選手(レンゴーロジスティクス三田営業所)が獲得した。50歳以上でトップだった11トン部門の野口明選手(西濃運輸越谷支店)には、全日本トラック協会長特別賞が贈られた。
全体の成績は、総合得点が平均872点(千点満点)となり、前回大会を25点下回った。学科競技は336点(400点満点)で前回よりも24点、実科競技では536点(600点満点)で1点、それぞれ低かった。
表彰式で、寺岡会長が「内閣総理大臣をはじめ、国交相、警察庁長官から表彰状を授与される、歴史と名誉のある大会。日本から交通事故がなくなるまで続けていく意義がある。皆さんにはそれぞれの職場や地域社会で、交通安全に対する模範的なドライバーとしての役割を担ってほしい」とあいさつした。
また、国交省の原田修吾大臣官房総括審議官は「同コンテストは、皆さんが日々の業務で培ってきた広い知識と高い運転技術を全国に発信しており、次世代を担う人材の育成や運送業界の魅力向上に大きく貢献している。受賞者の方々は、卓越した技術と経験を業界に継承し、引き続き安全で質の高いトラック輸送の実現に寄与してほしい」と激励した。
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