【ちょっといっぷく】AIで失う成長機会 湯浅コンサルティングコンサルタント 内田明美子氏

前回のコラムで、生成AI(人工知能)元年についてポジティブな決意表明をしたが、そのすぐ後、考えさせられる経験をしている。 ある物流の資格認定講座で、修了リポートの講評を担当している。6日間の学びを振り返り、自分の仕事にどう生かすかを総括するという課題だが、「これは明らかにAI作文だな」と思うものが今年、特に増えたように感じた。 素直な課題だから、カリキュラムを読み取らせてそれらしいものを書いてもらうのは容易だろう。いくつか読むうちに、AI作文の特徴が分かってきた。 まず、「自分の仕事を踏まえて」という立脚点が弱い。物流コスト管理の学びが役に立った、今後に生かすというが、物流コストって何? 誰にとっての何のコストを指すのか、まるで分からない。 また、課題認識が借り物で、新旧入り混じることも見逃せない。「リードタイム短縮ニーズに応え、物流システムの高度化を進めたい」など、時代錯誤も甚だしい。 さらに、最も残念なことは、こうだ。前半で学びの中の気づきを語り、後半でその具体的な役立ちを述べる。人の作文なら書きながら思考がドライブし、解像度が高まっていく様子が感じられるものだが、これが全くない。同じ内容が、言葉をすり変えて繰り返される。 さて、なんとコメントしたものか。AIを使うなと言うつもりはないが、成長の機会を逸していることにはくぎを刺したい。悩んだ末、「こんな当事者意識のないリポートが許されるのは、学生とAIだけだ」の一文を入れた。