【主張】輸送力 外国に依存しすぎるな

「日本が大好きで、ずっと日本で働きたい」と話す、インドネシア人の特定技能ドライバーの笑顔が忘れられない。このような人にぜひ日本で働いてほしいと思いつつ、戦時にも災害時にも日本のインフラを担うトラック運転者を、外国人に依存しすぎてはならないとも感じる。人手不足だからといって安易に外国に頼るのではなく、日本人ドライバー増加に向けた取り組みを強化すべきだ。
 もし、ある国から数万人のドライバーが日本へ来て働いていたとして、その国と戦争になった時、一気に大量のドライバーが帰国すると、日本の経済は回るのだろうか。国内が戦地になったら、物資輸送の人手は足りるだろうか。
 トラックドライバーの特定技能の受け入れ見込み人数は、2028年度までで1万5千人に設定されている。現在の特定技能1号の在留期間は5年だが、更新し続ければ日本で働き続けられる2号への移行に向けた動きもある。小紙でも特定技能ドライバー採用の記事が増えてきており、安全教育含め各社が懸命に受け入れ体制を整えている様子がうかがえる。
 決してこの流れに否定的なわけではない。運転者不足が顕在化する中、一部を外国人に助けてもらう必要があることは確かだ。ただ、その割合が問題になる。アメリカ、ヨーロッパでは、農業分野で大勢の外国人の季節労働者を雇っていたが、新型コロナウイルス禍で国境移動に制限が掛かったことで、収穫期を迎えた農家がパニックになり、労働力の外国人依存を見直すきっかけになったという。
 大阪府の運送会社の社長は「外国人ドライバーを雇うつもりはない。日本人で日本の物流を守りたい」と話している。
 日本全体のBCP(事業継続計画)を考えると、外国人ドライバー比率を何%までに抑えるのかという総量規制的な考えも踏まえ、慎重に検討すべきだ。また、行政、運送業界、荷主は、ここまでドライバーのなり手が減ってしまった原因を改めて見直し、強い危機感を持って労働環境改善と給与水準向上、運転職のイメージアップに取り組まなければならない。
(根来冬太)