最大震度7の激震が2度襲った熊本地震から4月で10年の節目を迎える。同地震以降も能登半島地震や豪雨災害、山林火災が各地で相次ぎ、日本が「災害列島」である現実を私たちに強く突き付けている。
冬場は鳥インフルエンザなどの家畜伝染病も発生しやすい。突発性と社会的な被害規模で、地震や水害に匹敵する「災害」と言える。トラック輸送は、被災地への物資供給を支えるライフラインであり、気持ちを引き締めたい。
災害発生時、現場のトラック関係者は、危険と隣り合わせの責務を果たしてきた。福岡県トラック協会は、鳥インフルなどの発生を想定した県主催の実地演習に毎年参加。また、沖縄県で33年ぶりに豚熱が発生した際、不発弾探査の制約で農場内に埋設できず、死亡家畜の輸送に協力したトラックが風評被害を受けた。乗務員延べ100人が防護服を着用して対応。現場はセ氏30度に達し、家畜や消毒の悪臭も充満していた。
一方、現場の奮闘に行政側の受援体制は追い付いているか。沖縄の豚熱対応では、マニュアルの欠如や指揮系統の混乱により、ドライバーが深夜・早朝に長時間待機を強いられたり、指示の不備で輸送量がかみ合わなかったりする事態が散見された。当初、熊本地震でも支援物資が拠点に滞留し、避難所に届かない「ラストワンマイル」の混乱が生じた。自治体の取り組みが、現場の実情を十分に踏まえていないのなら、緊急時に十分な実効性は発揮できない。
災害は、時も場所も選ばない。南海トラフ巨大地震への警戒が続く今、必要とされるのは「顔が見える関係」を築き上げることだ。例えば、九州・沖縄のトラック協会が進める災害物流専門家研修には、それぞれ多くの地元自治体が参画し、大災害を想定して意見を交わし連携を深めている。こうした取り組みが更に広がってほしい。
普段できないことは、緊急時にもできない。不断の準備と実効性のある連携が、国民の命と暮らしを守るために重要だ。「備えよ常に」。この言葉を胸に、官民一体となって災害に強い物流網を築き上げなければならない。
(上田慎二)