【主張】クマは災害 国を挙げ対策を

新年を迎えて能登半島地震から丸2年が経過した。正月早々には鳥取、島根の両県で震度5強を観測する地震があったほか、2025年12月には青森県東方沖を震源とする大きな地震があったばかり。そして26年は、あの東日本大震災から15年の節目の年。ほかにも豪雨や豪雪などが頻発している。丙午(ひのえうま)は強力なエネルギーを持つ年と言われるが、災害のパワーはご容赦願いたい。
 25年を振り返ると、想定外の新たな災害が加わったと思えてならない。東日本の人たちは身をもって痛感していると思うが、クマによる被害だ。人身だけでなく、建造物や農地への侵入、破壊も多く発生している。ひとたび出合ってしまえば、生身の人間が撃退するのは至難の業で、命を守る効果的な対処法がないのが現状のようだ。この状況を「まるで無差別テロリストが野放しになっているようなもの」と例える人もいる。
 25年のクマによる人身被害は、11月末時点の環境省の速報値によると230件で、過去最多を記録した。このうち224件がツキノワグマで、秋田県が66件と全国最多だった。捕獲件数は11月末時点(環境省)で秋田が2564件と、これも全国で最も多い。秋田では25年のクマの車両衝突事故が137件(11月末時点)発生し、こちらもデータが残る過去5年で最多だった。
 物流関係にも影響は及んでいる。12月末には秋田市の公設地方卸売市場の車両整備施設にクマが29時間以上も居座った。また、秋には秋田県の自動車ディーラーの敷地に出没したほか、高速道路などで衝突事故も多数発生していて高額の修理費が経営を圧迫する事例も出ている。クマの被害を回避するにはどうすればいいか。真剣に考えなければならない時に来ている。
 26年はウルトラマンの放送開始から60年に当たるそうだが、番組ではどこからともなく突如現れた怪獣が街を破壊するシーンをよく目にする。60年後の現在、クマがその姿に重なる。もはや個人や個別企業での対応は限界で、国を挙げて個体数を把握し、駆除やすみ分けなどの対策を講じる必要があろう。クマは災害――。備えと対処計画の策定が不可欠だ。(今松大)