ミラノ・コルティナ冬季五輪が閉幕した。日本選手団が獲得したメダルは過去最多を更新するなど、印象深い大会となった。現地とは時差が8時間あり、テレビ観戦に熱中し、寝不足の人も多かったのではないか。
表彰台に上がる日本選手を見て気付いたことがある。ほとんどの種目が採点競技なのだ。「より速く、より高く、より強く」が近代五輪のモットーだが、これらとは若干テイストが異なる。そういった要素はベースにはなるものの、そこに人の目のジャッジが加わる。このため、競技後に評価を待つ時間が発生し、点数が発表されて一喜一憂となる。
冬季五輪そのものがそういう傾向なのかはよく分からないが、メダルの多さも相まって、個人的には再発見だった。
プロによる審査は、素人目には分かりづらいものも少なくない。フィギュアスケートの三浦璃来、木原龍一の「りくりゅう」ペアは、ショートプログラムのリフトでミスが出た。失敗とは認識できたが、いったいそれがどの程度なのかピンとこなかった。二人はその後のフリーで世界歴代最高点をマークして金メダルに輝き、多くの人を感動させた。
躍進が目覚ましいスノーボード系もそうだが、こういった競技は相手と対戦するものではなく、日々鍛錬してきた練習の成果をミスなく発揮することが肝要だ。この点、トラックドライバーも非常に近いものがある。いかに落ち度なく、安全・確実に運ぶかが最も重要な部分になる。ミラノ五輪では悪天候により途中で打ち切りになる競技もあり、この辺りも似ている。
以前、トラック業界の研修会で「エッセンシャルワーカーは新たな製品やサービスを開発する仕事とは異なり、ヘルメットの着用、安全確認の励行といったルール順守について評価を受ける」とする講演を聞いたことがある。大変地味な行為だが、それをブレずにやり続けることは、決して簡単なことではない。
現状ではその働きぶりが一般の人たちにはなかなか伝わらず、まっとうな評価も得られにくい仕事かもしれない。りくりゅうペアの大逆転のように世間の注目を浴び、人気の職業になればと願ってやまない。(河野元)