外国人の特定技能ドライバーを採用する運送会社が増えるのと併せ、技人国ビザの外国人を雇用する動きも出ている。技人国ビザはIT、機械設計、経理、通訳・翻訳、総務など技術・人文知識・国際業務の専門的知識を生かして日本企業で働く外国人のための在留資格で、日本の大学や専門学校、海外の大学を卒業し日本企業に就職するホワイトカラー系の外国人が取得する。
ドライバーを含めた特定技能1号の在留期間が5年なのに対し、技人国は3カ月、1年、3年、5年がある。同じ会社で長く働き、届け出・納税義務を果たすなどの条件を満たせば長い在留期間を得やすくなる。更新回数に上限はなく、会社も中長期的な視野で雇用できる。
物流企業が技人国ビザの外国人を採用する狙いの一つは、会社と特定技能ドライバーとの橋渡し役だ。特定技能は日本語能力試験レベルN4(初級)で取得できるため、日本語での細かい意思疎通までは難しい。技人国ビザの外国人の多くは日本の大学などを卒業して日本語を話せるため、外国人ドライバーに安全やマナーなどの指導をより細かく徹底できる。通訳や会計などで採用する運送会社が出ているが、専門知識に関連する管理・マネジメント業務に従事することも可能だ。
ただ、技人国ビザは、専門知識の必要な業務に従事するのが原則で、実務研修など一部の例外を除き単純作業で働かせると不法就労となる。単純作業とは「反復訓練により誰でもできる作業や、専門知識を要しない作業」とされ、積み下ろしや倉庫作業の一部が該当する。関連事業者を取材すると「技人国ビザの外国人を単純作業に従事させている会社は少なくない」といった声をよく耳にする。
外国人雇用は、物流業界では始まったばかりで、法律や制度の知識がまだ十分に浸透していない。正しい情報を周知する一方で、公平性を担保するためのコンプライアンス(法令順守)対策は不可欠だ。外国人雇用の適法性のチェックを適正化事業の指導項目に入れるのも一つの案だろう。働きやすい職場づくりは外国人雇用でも重要で、行政と業界を挙げての対策が必要だ。(江藤和博)