11日で東日本大震災から15年になる。あの瞬間を境に日常生活は崩壊し、新たな信じがたい現実を受け入れる日々が続いた。この日の経験を糧に前を向く人もいれば、思い出すのがつらいため考えないようにする人もいる。それぞれの3・11がやってくる。マスコミがあの日を大きく取り上げることで、一人でも多くの人が忘れかけていた何かを思い出してくれたらいい。
われわれはあの震災から何を学んだのだろうか。間違いなく言えるのは、災害へ備える意識が飛躍的に高まったことだ。現に大震災以降、各地でいろいろな災害が発生している。頻発する震度6以上の地震や豪雨、大雪、相次ぐ津波警報。また、新型コロナウイルスの大流行やサイバー攻撃、2025年のクマ被害も広い意味では災害と捉えられる。武力による国家間衝突のニュースも次々に入ってくる。物騒な世の中になったものだ。
災害の発生を予測するのは不可能で、今後は何が起こっても動じずに対処する強さが求められる。もはや「想定外」は言い訳にしか聞こえない。非常時こそ冷静に状況を分析し、最善の策を導き出す臨機応変さを身に付けたい。
次元は違うが、先日、買って半年余りのパソコンの電源が急に立ち上がらなくなるトラブルに見舞われた。頼りの古いパソコンは反応が遅く、一つの作業に通常の5倍もの時間を費やす。こうしたケースも想定しておくべきだった。「買ってからしばらくは故障しないだろう」という考えがあったのは否定できない。
これからはアナログな備えも必要なのかもしれない。アサヒビールやアスクルはサイバー攻撃で物流システムがストップし、手作業でしのいだ。名古屋港でもシステム障害で数日間、搬出・搬入業務が滞った。大震災の時には、津波に流されたかまぼこ工場が、残された店舗で創業当初の全て手造りの工法を再現して商品を出荷し、再建にこぎ付けた。手書きの新聞を発行したケースもあった。
各方面で自動化が進むが、そのシステムが機能しなくなった時に対応可能な知識と技術をどこかに残しておきたい。時代遅れなノウハウが生命線になる。(今松大)