2025年11月の参議院予算委員会で、改善基準告示で求められる連続運転4時間と30分間の休憩取得のルールに関する質問に対して「現場を見てほしい」と返したことを受け、SNSでは「よくぞ言った」と講談調の拍手喝采があふれたのが記憶に残っている。本当にそれでいいのか。
この問題の本質は、運送事業者が自分たちの業務をコントロールできていないことで、これは利益を確保できていないのと表裏一体である。荷主からの依頼がないと事業が成立しないとはいえ、ドライバーを守り、利益を出すためには、運送事業者がこのルール順守も含めて配車権を握らなければならない。
SNSで「430」と略される連続運転時間の規制は、とにかく評判が悪い。「高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの大型駐車エリアは乗用車で埋まっている」「国道や一般道路に止められる場所がない」「実行不可能な机上の空論だ」などの反論が吹き荒れる。
そもそも、荷主指定の着時間を守り、限られた運賃で届けることから始まる低収益運行によるものではないだろうか。法令を無視して走り続けてきた結果はどうだろう。
昔は新車を買っていたのに中古車のリースで車両を代替えし、法令違反はまずいので日報を書き換え、そのための事務スタッフの増員を図ってきた。経営に携わらない外部の目から見たら、だまされているか、サプライチェーン(供給網)のきつい部分を押し付けられ、需給のバッファー扱いされているようにしか見えない。挙げ句、ドライバーの給与は、都道府県の最低賃金で帳尻を合わせてきた。
運賃や条件面の見直しは一部で進んでいるが、まだまだ足りない。運行管理の中では本来、連続運転にならないようにするため休憩地の指定が必要で、そこへの到着も含めた、余裕ある運行計画を組まなくてはならない。
くだんの国会議員は業界の味方をしていたのではない。ルール無視の運行を続けられるようにしろ、と言ったのだ。打ち上げ花火のような国会質問に沸き立つのではなく、配車権を取り戻し「現場を見ていない」無理な発注を断ることを考えるべきだ。(佐々木健)