小説や映画、ドラマなどで、ストーリーの進行上、登場人物が急死することがある。その場合、恐らくトラックが関わる交通事故が多いのではないか。一般的に海外に比べ日本は治安が良いとされており、不慮のケースで亡くなると言えば、やはりそうなるのだろう。乗用車よりも被害が大きくなりやすいため、おのずと多用する傾向にある。
ここでは緑ナンバーと白ナンバーの違いにはまず触れられない。ごく一部の作品を除いては、その相違は内容と全く関係なく、単に「トラック」と記述すれば済むからだ。トラック事業者から見ると安直な設定で、イメージ悪化につながるものだが、今でも当たり前のように続いている。
多く使われる理由はリアリティーがあるからで、払拭するためにはトラックによる事故を減らす必要がある。しかし、懸命に取り組んでも、三重県亀山市の新名神高速道路で発生した6人が死亡するような事例があれば、世間の印象は変わらない。
また、企業を舞台とする物語では、落ち度があった社員が部署異動になる展開がよくある。ここでの移り先は、子会社でなければ、保管や出荷といった部門になる。作業着姿で荷物と格闘する様子がワンカットでも映し出されれば、作品を見ていた人は「そういうことか」と察する。これもトラックの事故と同じで、いつの間にか刷り込まれてしまった。
3月末に終了したドラマでも関連するエピソードがあった。異動となった人物は、そこで効率化に向けて機器導入のアイデアを出すのだが、一緒に働いている社員からは、自分たちの仕事をなくさないよう懇願される。
物流効率化法(新物効法)の施行により、前年度に年間9万㌧以上の貨物を扱う荷主企業に、4月から物流統括管理者(CLO)の選任が義務化された。CLOは物流部長のような限定された役割ではなく「物流全体の持続可能な提供の確保に向けた業務全般を統括する者」になる。
この法令が物流のイメージ向上のきっかけになることを期待したい。初の取り組みのため難しいかもしれないが、トラック事故の絶無よりも可能性は高そうだ。(河野元)