死ぬ前に何が食べたいかと聞かれると、私の場合はきつねうどんとなる。それも元祖大阪のきつねうどんである。うどんも日本の多様性を表しており、日本全国に多種多様のうどんがある。ただ、近年では全国的に讃岐うどんのチェーン店が多くなり、大阪においても、おすすめのうどん店の上位に讃岐うどんの店が来たりする。
コシがあり、歯応えのあるおいしさは讃岐うどんならではと言えるし、私もおでんと一緒に食べる讃岐うどんは好きで、四国出張の時は高松近辺に寄り、地場の製麺所に食べに行ったこともある。
とはいえ、私の場合はコシの強さだけでなく、全体的なバランス、すなわち麺、具、出汁(だし)の三位一体がしっかりしている大阪うどんに軍配を上げたい。大阪うどんの麺は讃岐うどんより柔らかい。かといって、伊勢うどんや博多うどんのようにコシがなくなった柔らかさでもない。出汁がよく絡む柔らかさである。
また、麺の断面が丸いのも特徴である。具はいろいろあるが、出汁のうまさとの絡みで言うと甘辛く煮た油揚げが一番おいしいと思う。油揚げの油と甘辛い味が出汁に溶け、さらにおいしくなる。
そして、出汁。大阪うどんの真価はこの出汁にある。昆布がメインで、かつお節や煮干しを加え、その上で薄口しょうゆを軽く加えて味を調える。材料をぜいたくに使うのがコツらしい。丸い麺には角を立てずに丸く収めるという意味があり、三位一体のバランスは三方よしにつながる。うどんには大阪の商人道が込められているのである。