【主張】日々の健康管理まで徹底を

2024年度の脳・心臓疾患の労働災害支給決定件数は、業種別で道路貨物運送業が76件と最多で、2位の飲食店の19件を大きく引き離した。長時間労働や慢性的な休息不足などが原因で、これらの負担を減らすために官民を挙げて「2024年問題」対策を進めているわけだが、ワーストの汚名を返上できる状況には程遠い。
 脳・心臓疾患は健康起因事故に直結する。ある管理栄養士の講演を聴いたとき、点呼時に計測するドライバーの血圧について「(上が)140を超えると、正常な人に比べて脳卒中のリスクが2・5倍、心疾患リスクは2倍に跳ね上がる」と指摘。「運送業で健康診断の再検査を軽く見るのは、会社倒産のリスクを背負うのと同じぐらい恐ろしいこと」と警鐘を鳴らしていた。
 だが、ドライバーは、健康が阻害されやすい労働環境にあるのが現実だ。特に食事は要注意で、ドライバーがよく立ち寄る高速道路のサービスエリア(SA)や一般国道沿いのドライブインでは、高血圧の原因となる塩分量の多いメニューが目白押しだ。例えば、ラーメン1杯の塩分量は5~7㌘と言われ、厚生労働省推奨の1日の塩分摂取目標量(男性7・5㌘未満、女性6・5㌘未満)の6、7割を超えてしまう。SAの食堂では最近、メニューごとに塩分を表示するところも出ているが、ドライバー本人が意識しなければどうしようもない。
 運送会社も健康経営優良法人認定などを取得するところが増えているが、さまざまな推進メニューを並べても「仏作って魂入れず」では意味がない。産業医などのアドバイスに頼るだけでなく、社員一人一人が当事者意識を持って日々の健康管理に気を配るのが大切。そのためには経営者、管理者がリードして職場ぐるみで健康への関心を高め、知識を共有することが大事だ。
 外食で塩分摂取量を減らそうと思えば、麺類のつゆやスープを残し、醤油などの調味料は「かける」より「つける」のが基本。こうした豆知識を安全会議などで共有するのも立派な事故防止対策だろう。日々の健康管理まで徹底してこそプロドライバーと言える。(江藤和博)