【主張】関係者一丸で伝える努力を

政府備蓄米を巡り、業界団体がかねて要請していた倉庫会社に対する保管料などへの支援が決まったが、これは関係者が行政や国会議員に粘り強く支援を訴えた結果だ。社会的に関心の高いテーマでもあったが、備蓄米を扱う社会的意義やそれによる窮状を熱心に伝えたことが要因となった点を見ると、要望活動の重要性を改めて認識できる。
 保管料支援に向けた活動の中心となった全国定温倉庫協同組合によると、執行部が何度も議員会館や関係省庁に足を運び、要望してきたという。自民党の議員連盟の総会でも、多数の国会議員の理解を得られた。定倉協の関係者は「われわれだけでなく、多くの関係者が一緒に汗をかいてくれた」と、一丸となった取り組みの成果を強調している。
 こうした事例をほかにも展開できないか。本欄でたびたび触れているが、北海道の鉄道網を巡り、北海道新幹線の延伸に伴う並行在来線の問題がある。国の有識者会議は2025年に中間取りまとめを出したが、札幌延伸の計画が想定より延び、議論は停滞したままだ。通運事業者などの関係者は、現状を打破しようと貨物鉄道の維持に向けた訴えを推進している。
 中間取りまとめには「少なくとも札幌延伸開業の時点では、海線(函館―長万部)の維持により貨物鉄道の機能確保が必要」と明記された。ただ、開業までは、これまでの形でJR北海道も運用するため当たり前の話で「誰も本気で議論しようとしない」と指摘する声が上がっている。
 こうした状況を変えるには、一般社会に広く周知するのが重要だ。これまでも関係者で要望活動を展開しているが、こと並行在来線では、延伸計画の延期や最終的に「どこが費用を負担するのか」といった話になるのが明らかで、スムーズに進まない。
 それでも、危機が現実となる前に解決しないといけない。JR北海道が単独で維持できない線区の在り方といった課題もある。鉄道網がなくなった場合の物流面のインパクトをより明確に示すなど、要望の仕方にも工夫が求められる。何より関係者一丸で物流の大切さを伝える一層の努力が必要だ。
(土屋太朗)