イラン情勢で石油製品の供給が不安定になっているのを受け、政府は「流通の目詰まり」を解消する方針を打ち出している。石油元売り企業や石油製品の卸売企業などに、できるだけ出荷・供給を維持するよう要請している。
流通の目詰まりで記憶に新しいのは、2024年の一連のコメ不足だ。流通経路の複雑さに加え、新規参入を含む一部の中間業者などが在庫を抱え込んだことが原因として指摘された。政府が備蓄米を放出しても状況はすぐに好転せず、目詰まり解消の難しさが浮き彫りとなった。
コメ1品目だけでもあの騒ぎになったことを考えると、燃料のみならず、広範囲な産業と生活全般に関わる全ての石油製品について、目詰まりを解消するのは容易ではない。モノの価格が需要と供給で決まる以上、千載一遇のビジネスチャンスと見る人々が出てくるからだ。
政府は国家備蓄原油の追加放出を決め、各種素材や日用品などの原料となる石油製品のナフサ(粗製ガソリン)も半年分は確保したと説明する。しかし、川上にモノがあっても川中で滞留すれば物流は回らず、川下の企業や消費者まで届かなくなってしまう。
川中の目詰まりを防ぎたい政府の対策は理にかなっているが、中間の流通事業者にただ要請するだけでは不十分だ。適正な出荷管理なのか、もうけるための出し渋りなのかは、客観的に判断するのが難しいが、内部通報なども活用し、徹底的に調査して指導しないと目詰まりはなくならないだろう。
一方で、川下から混乱が拡大するケースもある。1973年のオイル・ショックでは「紙がなくなる」とのうわさが広がり、全国でトイレットペーパーの買いだめが発生した。当時はインターネットもなかったが、SNS上で偽情報と偽画像が拡散されている現代では、さらに大きな混乱が起こっても不思議ではない。
企業活動と国民生活に必要不可欠な石油製品の物流は、万難を排して守られなければならない。政府には目詰まり解消に加えて、中間流通事業者と一般消費者に対し、冷静な行動を取るよう呼びかけていただきたい。(星野誠)