【ちょっといっぷく】神奈川大学名誉教授 齊藤実氏、AIの見事な再現力

最近、柳ジョージの曲をよく聴いている。『青い瞳のステラ、1962年夏…』がお気に入り。日本に住んでいたアメリカ人女性のことを、日本人の少年が懐かしく思い出す歌である。横浜に住んでいるが、近くの本牧にはかつてアメリカ軍関係者の住宅地があり、そこで実際にこんな出来事があったのではないかと想像を膨らませる。
 そこで、生成AI(人工知能)に歌詞を読み取らせ、イメージできる情景の画像を作成させてみた。すると、60年代の本牧の米軍関係者の住宅街を思わせる風景の中、青い瞳の女性が日本人の少年と話している、映画のワンシーンのようなリアルな画像を作りあげた。想像していたシーンを見事に再現した。
 またこの頃、物流に関する講演用のパワーポイント資料を作成していた。一般の人には画像を入れたほうが理解しやすいと考え、試しに生成AIにいくつかの画像作成を依頼してみた。物流センターでのトラックの荷待ち、ドライバーによる手荷役の作業、モーダルシフトの鉄道コンテナ輸送といった場面である。
 最初に生成された画像はリアルではあるものの、細部につじつまの合わない部分もあった。そこで具体的に修正点を指示すると、実際のものと見分けのつかない画像が作られた。
 これらの画像は生成されたものであり、本物ではない。好奇心から試してみたが、生成AIは人の頭の中にある曖昧なイメージを、驚くほど具体的な形にしてしまう。技術が想像力の輪郭をここまでくっきりと描き出す時代になったのだと、改めて実感した。