【ちょっといっぷく】川崎近海汽船特別顧問久下 豊氏、量子コンピューター

現在、技術力のある国々で量子コンピューターの開発が進められている。わが国でも、もめつつも成立した2026年度予算で、量子コンピューターの研究開発のために1千億円強の予算が割り振られた。量子コンピューターは既に使われているものもあるが、本格的な汎{{はん}}用{{よう}}的用途での実用化までには至っていないのが現状である。
 とはいえ、スーパーコンピューターの開発競争の傍ら、量子力学の原理を使うことでそれ以上の計算能力を持つと言われる量子コンピューターの開発でも激しい競争が行われている。わが国も19年度にスタートさせたムーンショット型研究開発制度の目標の一つとして量子コンピューターの開発をノミネートし、50年度までのロードマップも示している。
 量子コンピューターには量子ゲート方式と量子アニーリング(焼鈍)方式の2種類があり(後者は純粋な意味で量子コンピューターではないと言われてもいるが)、前者は汎用的演算を用途とし、後者は特定の問題解決に使われている。現在、後者が実用化されており、金融で資産ポートフォリオ最適化や株価予測、物流では輸送時の最適経路の選択などに使われているという。
 今後は、量子コンピューターの本格的な活用のために、量子ゲート方式による実用化が待たれるところである。本体や周辺機器のハード面、ソフト面の課題がいくつもあると言われるが、30年代の初めには実用化のめどがつくとも言われており、遠くない将来、その活用によって社会が動くことになる可能性は高い。