高校生を乗せたマイクロバスが高速道路を走行中にガードレールに激突、クラブの遠征に行く途中だった生徒の1人が死亡する痛ましい事故を受け、警察は運転者を過失運転致死容疑で逮捕し、全容の解明に努めている。バス会社の緑ナンバー車両でなくレンタカーで、社員ではなく二種免許を持たない運転者がハンドルを握っていた。国土交通省は運行を手配したバス会社に監査を行っている。
高校とバス会社の双方の記者会見では、車両や運転者の手配で主張が食い違い、どちらかまたは双方がうそをついていることは明らか。バスとトラックの違いこそあれ、運輸の現場を日々取材している者として、まず問題だと感じたのは、契約書面を交わさず輸送が行われていた点だ。
運送業界では長年、契約書面を交わさない慣例や口頭による運送依頼が日常的に行われてきた。しかし、2025年の改正貨物自動車運送事業法の施行で、契約時の書面交付が義務化。時代に合わせEメールなど電子的な方法でも書面交付は可能とされ、運送契約の範囲や運賃・料金を明確化し、運送契約締結時に付帯業務などのサービス内容や対価なども明記し保存することで、適正運賃収受や責任の明確化に役立っている。
テレビなどの報道によると、バス会社は高校側から口頭で依頼を受け、レンタカー会社から車両を借り受け、二種免許を持たない運転者の手配を仲介。また、バス会社が運転者に渡したと見られる「手当」が見つかっている。高校側は日程や行程を口頭で説明しバスの運行を依頼したが、使用する車両や運転者について何ら指示していないと主張する。
ここで重要なのは、どちらの言い分が正しいかもさることながら、これまでもこうした「なあなあ」なやり取りが繰り返されてきたのでないかという点だ。その結果、事故の責任は曖昧になり、当事者が責任逃れに終始すれば、被害者や遺族は補償の遅延などさらなる苦痛を受ける。改めて言うまでもなく、緑ナンバー車両を運行する事業者は法令を順守し、責任を持って厳格な管理を行わなければならない。いかなる時でも、なあなあは許されないのだ。(小菓史和)