1931年に発売され、藤山一郎の歌で大ヒットした名曲『酒は涙か溜息(ためいき)か』(作詞:高橋掬太郎、作曲:古賀政男)をご存じの人は、今では随分少なくなったかもしれない。とはいえ、酒が時に心の憂さや悲しい恋の捨てどころだということは、遠い昭和の時代に限った感慨ではあるまい。
運輸の仕事に携わる人にとって、酒との付き合い方は年々難しくなっている。いや、むしろ昔は飲酒に寛大過ぎたと言ってもいいだろう。酒は人によって許容量が大きく違い、酔態も人それぞれ。今も昔も「適量」「ほどほど」というのが実に難しい。
「飲酒の習慣がある人は、プロドライバーになるべきでない」と極論する人もいる。しかし、毎日夜も昼も、長い間神経を研ぎ澄ませ、ハンドルを握らねばならないプロドライバーの労働環境を考えると、仕事終わりに飲む適量の酒で、心と体をリセットしたいという気持ちはよく分かる。だからかどうか知らないが、仕事終わりに豪快にビールを飲み干す女性トラックユーチューバーには、たくさんのフォロワーがいるらしい。
涙や溜息をはき捨てるために飲むのはいいが、飲んだ末の失態に後悔の涙を流したり溜息をついたりするようでは、お酒の神様に申し訳ないと酒飲みのオッサンは思うのだ。(小菓史和)