福島県郡山市の磐越自動車道上り線で発生したマイクロバス事故が連日のように報道されている。新潟市の高校のソフトテニス部員ら21人が同乗し、死者1人、負傷者20人を出した。主にドライバーに責任が及ぶ一般的な交通事故ではなく、その背景には引き受けた運送事業者の管理体制、無許可営業の関係性、部活動での移動の在り方まで、さまざまな問題が絡み合っている。
新潟県の地方紙によると、このドライバーは高校の陸上競技かいわいでは有名で、指導者として全国レベルの選手を輩出してきた。近年は自治体のバス運転に携わっていた。ただ、ごく最近は身体機能の衰えが顕著になっていたようで、プライベートの運転でも複数回、事故を起こしていたとされる。それなのに、なぜ運転を任せる事態になったのか、今となっては後悔してもし切れないだろう。
亡くなった生徒は最後方の席で、突然車内に入ってきたガードレールによって車外へ押し出されたと見られる。ここまでの事故になると、シートベルトをしっかり装着していても被害を軽減できない。
高校とバス会社、双方の言い分が食い違うのも大きなポイント。高校側は、公布・保存を義務付けられる貸切バス運送引受書を持っていないとの報道も一部出ている。なお、バス会社の代表者は新潟県バス協会で理事を務める。自社だけでなく、業界全体への影響も避けられないだろう。
改正貨物自動車運送事業法が2025年4月に施行され、トラック事業者には運送契約締結時の書面交付、委託先への発注適正化、運送利用管理規定の作成と管理者選任などが義務付けられた。また、無許可営業(白トラ)に関しては、26年4月から荷主も取り締まりの対象となった。
あるバラエティー番組で、ロケバスの運転者を夫に持つタレントが今回の事故に関連し「乗車前には体温やアルコール、血圧、睡眠時間などをいつもチェックする」と語っていた。事故を起こした運転者が乗っていたのは自家用自動車かもしれないが、安全に関しては白ナンバーも緑ナンバーも同じ。バス事故を他山の石として、コンプライアンス(法令順守)の徹底に取り組むことが求められる。(河野元)