【ちょっといっぷく】フリーライター 橋本 愛喜氏、国の血管破裂を憂う

ブルーカラー関連書籍を執筆する上で、最近「道路」に関心が向いている。
 広大な土地と自動車産業の発展に伴い、1920年代に道路整備が始まったアメリカ。29年に世界恐慌が起きると、当時の大統領フランクリン・ルーズベルトは「ニューディール政策」を打ち出し、公共工事を増やして失業者に仕事を与えた。
 アメリカは人・モノの移動が活性化され一気に経済発展に向かう。しかし、60年が経過した80年代、ある現象が起こり始める。インフラの老朽化。維持管理を怠ってきた道路や橋が一斉に使えなくなり、「荒廃するアメリカ」と言われるような事態に陥った。
 一方、日本では60年代にオリンピック景気が到来。鉄道や道路の建設ラッシュに沸く。お分かりだろうか。今、日本ではアメリカと同じ老朽化の時期を迎えているのだ。
 もっとも、80年以降は「荒廃する日本」回避のために多くの識者から指摘があった。それでも国は整備に十分な予算をかけず、実際、昨今のインフラの老朽化は「事故」という最悪な形で表れている。2025年の埼玉県八潮市の道路陥没事故が注目されているが、すでに12年の笹子トンネル事故で顕在化は始まっているのだ。
 しかもタイミングの悪いことに、今の日本には整備にかける人手が足りない。予算をつけても人がいない。地形上、日本には橋がアメリカよりも10万多い73万脚あり、その半分が老朽化しているという。
 トラックが国の血液ならば、道路は「血管」。この先あちらこちらで「血管破裂」など起こらないといいが。