磨き上げられた鏡面のようなこげ茶色の車体に、つや消しサテンゴールドのルーフ、ヘッドライトの枠は真ちゅう調の温かい黒色。洗練された高級時計のようなデザインが、大型車両の質量を持って迫ってくる。ドアに埋め込まれたスピーカーからは、ジャズの快い低音が流れる。
ジャパン・トラックショー2026では、まず、トラックの美しさと圧倒的な存在感に魅了された。車両のことは分からないが「何てカッコいいのだろう。乗ってみたい!」と一人前にワクワクした。
同時開催のセミナーでは、運送会社経営者の肉声をたっぷり聴けた。人手不足対応のトークで「従業員の時間は、その人の命。時短は命を大切に使うということ」「これまでのやり方は『惰性』、変えるには『脱皮』が要る。一皮むけて皮膚がひりひりしないとダメだと言い続けている」「運送会社を大切にしてくれる相手としか取引しない」など、経営者ならではの言葉に重みを感じた。M&A(合併・買収)にせよDXにせよ、新しいことの実践には、強い信念を持つリーダーの存在が大きい。
展示は車両だけでなく、人材育成や健康、安全管理などのブースも充実していた。本コラムの執筆もされていた下村由加里さん率いるハンナのブースでは、カンボジアの人道支援に端を発して地雷除去後の畑から高級焼酎を生み出す、技能実習生に帰国後は現地の物流ネットワーク構築をリードできる実務経験を積んでもらうなど、魅惑的な取り組みが紹介されていた。パワフルなリーダーと若い従業員の笑顔に、運送業界の未来を感じた。