トラック運送事業協同組合全国大会が初めて大阪市で開かれる。日本貨物運送協組連合会の総会が同市で開かれるのも、ほぼ半世紀ぶりのことだという。全国の組合員が顔を合わせて交流を深めることで、この大会が業界の発展に向けた結束強化に役立てば、地元としては何よりだ。思えば、20年にもわたって、運送事業者はこの大会を通じてヒューマンネットワークの拡充を図り、事業と業界の発展につなげてきたのだ。
最近は、インターネットやSNSの発達で、顔を合わせなくても人と人とは簡単につながれる。幅広いコミュニケーションが容易になったことによる効果は、とても一言では言い表せないほど絶大だ。しかし、こうしたデジタルツールは「トクリュウ」と呼ばれる匿名・流動型犯罪グループによる犯罪など、反社会的な行為の温床になりかねないという問題点も露呈している。先日も栃木県でトクリュウによるものと思われる強盗殺人事件が発生し、社会に不安が広がっている。
ITによる情報ネットワークは、運送業界でもWebKITやローカルネットといった求荷求車ネットの発展という形で、輸送効率化や小規模事業者の事業経営に大いに貢献してきた。こうした仕組みは協組の相互扶助という理念の下、人と人との絆によって結ばれた、事業者同士の信頼関係が基本にあるという重要な点を忘れてはならない。
運営に当たる協組や協組連合会と参画する組合員は、高いモラルと輸送品質を目標に掲げている。顔を見たことのない事業者同士でも安心して取引できる体制の構築に向けて心を砕き、知恵を絞って、多くの時間を費やしてきたのだ。
「運送事業は、どこまでいってもアナログな商売だと思う」と語った協組関係者がいた。ネット通販全盛の今日でもなお、荷物は多くの人の手を経て運ばれなければ、それを待つ人の元へと届くことはない。バーチャルでなく、全国の事業者が一堂に会するリアルな大会は、相互扶助の精神に基づくさらなる信頼関係の醸成とヒューマンネットの拡充にきっと役立つに違いない。(小菓史和)