中小零細が大多数を占めるトラック運送業界は、主に中途採用でドライバーを確保してきた。同業者間での転職も顕著で、わずかの待遇差で移るケースも頻繁に見られた。
トラック協会の支部など地域の集まりでは、そのようなドライバーの近況が話題に上ることがあった。当該地域で情報共有されており、そういった場に同席したことがあるが、特に採用後に事故が懸念される場合は、見送るよう申し合わせていた。
取材していて気付いたのだが、昔は「経験者優遇」と求人広告に記載するケースが多かったものの、近年はめっきり見なくなった。広告媒体自体が変わったのに加え、やはり労働時間規制の影響が大きいように思われる。そうなると、少しでも高い賃金を求めて職場を替える人は、以前に比べれば少なくなる。
「経験者優遇」をうたわない一方、業界未経験者のほうを重視する事業者が増えているように感じる。経験者はどうしても前の職場と比べるため、それが仕事への姿勢でマイナスに働くこともある。それよりも、経験のないまっさらな人を雇い、教育に苦労はするが、自社のカラーに染めてしまおうという考えだ。そのほうが離職率も低いらしい。
人材採用・キャリア支援サービスのX Mileが、卒業後に就職予定の学生500人を対象に行ったブルーカラーの就職に関する調査によると、8割以上が条件次第で現場職を選択肢に入れているという。今春にインターネットで実施したアンケートで、最新のデータになる。
職種へのイメージ(複数回答)については、オフィス系の仕事で「AI(人工知能)に代替されやすい」が31・4%と最多で、現場系はこれが7%だけだった。このAI代替に危機感を覚えた人もターゲットに想定し、ホワイトカラーからブルーカラーへの転職セミナーを企画する会社が出てきた。
トラック業界にとって明るいニュースだが、ブルーワーカーの対象は広く、工場作業員や各種技術職も含まれる。他業種との競争になるが、よそにはない魅力をPRし、興味を持ってくれた人材を取り込んでもらいたい。(河野元)