以前にも言及したが、最近、家から40分かかるコワーキングスペースに通い詰めている。家賃の高い静かな自宅兼事務所があるのに、通勤・帰宅ラッシュで人ごみにもまれ、電車賃・利用料をかけないと原稿と向き合わない自分にため息しか出ない。唯一、これらの無駄を価値あるものにしてくれる存在がある。「世間の常識の広さ」を教えてくれる「仕事仲間」だ。
ある日、突然2席先から場違いな音が聞こえてきた。顔を上げると、そこには髪の毛をセットする人の姿が。飲食可能なオフィスで、朝食をとりながら仕事をする他の客をよそに、自前のヘアアイロンで髪を巻き、スプレーを振りまく。その光景に、気付いたらパソコンに「トイレでやれ」と打ち込んでいた。
その後も、歯磨きする人、爪を切って、やすりで仕上げまでする人などが続々出現。潔癖症のライターは、そのたびに原稿を書く手を止めては腕のサブいぼを確認するのだ。
同じころ、SNSではまたトラックドライバーによるポイ捨て動画が炎上していた。「非常識の集まり」「底辺職、仕方ない」などと批判が集まる。
締め切られたオフィス空間で周囲を直接不快にさせる職業不詳の人がごまんといる一方、直接被害を受けたわけでもない人が、一つの迷惑行為の無修正動画に群がり、「トラック」という属性で職業差別を言い連ねるバカバカしさ。
SNSの情報こそこの世の全てと思っている人たちを哀れむと同時に、職業をさらして働くブルーカラーは、世間以上のモラルを求められることを再認識する。