ハーフパンツや襟なしシャツなど、カジュアルな印象が強いユニホーム姿のトラックドライバーが増えている。取引先や消費者と直接やり取りする業務だからとこれまでためらっていた運送会社でも、夏の暑さ対策として数年前から容認し始めた。
現場職に限らずあらゆる職種で、仕事着の概念が変化している。不動産開発の会社に勤める知人によると、飛び込みで個人宅を訪問する営業マンでも、ノータイはもちろん自前のTシャツ姿で構わないらしい。一定の基準はあるものの、億単位の金額を扱うビジネスの最前線とは思えないような軽装が受け入れられている。
職場での熱中症による死者と休業4日以上の業務上疾病者は、2025年に1803人に上った。前年に比べ43%増え、統計を取り始めた05年以降で最多となった。
一方、このうち死者は19人と、39%減少している。政府は昨年、事業者に熱中症対策を義務付けた。熱中症の恐れのある作業を行うときには、事業者は報告体制の整備、手順の作成などの措置を講じなくてはならない。厚生労働省では、職場における熱中症の重篤化を防止する対策が一段進んだと見ている。
陸運業で熱中症になった人は、21年に61人だったのが、24年には186人と3倍に増加。死者は23年に1人、24年に6人で、ほとんどが荷役作業中での災害だ。
荷役によるトラックドライバーへの負担は、以前から問題視されてきた。「2024年問題」がクローズアップされて以降、労働時間を主眼に置きがちだが、荷役分離は健康面でも大きな課題。腰痛といった職業病を防ぐのはもちろん、熱中症対策としても論じられるべきではないか。
26年4月17日、気象庁は最高気温セ氏40度以上の日の名称を「酷暑日」と決定した。記録的な高温が続いているために誕生した新しい用語で、強いインパクトとともに、さらなる暑さ対策を促す効果がありそうだ。
暑さから身を守るために、服装に快適さや涼しさを求めるのは間違っていない。一方で、根本的な対策として、トラックドライバーの荷役からの解放を、酷暑を機に改めて考えてもらいたい。(矢野孝明)