【ちょっといっぷく】湯浅コンサルティングコンサルタント 内田明美子氏、課題を突破口に変革

2026年春のドラマ「銀河の一票」(関西テレビ)を面白く見た。無名で政治経験のないスナックのママが都知事選に出馬するという内容で、さまざまな得意分野を持つメンバーがチームを組み、当選に向かって全力疾走する。その快進撃が良かった。
 選挙戦の序盤で、掲示板にポスターを貼るという課題が出てくる。都知事選の掲示板の数は1万4千カ所。これに一斉にポスターを貼るのは難題で、外注すれば1千万円の労務費がかかる。「選挙のプロ」のリーダーは「投開票日までに貼り終えられたら御の字よ」というが、チームは奮起し、ボランティアを組織化して「告示日当日全掲示板制覇」を達成する。
 むろん、ポスターだけ貼ったって選挙に勝てるわけもない。しかし「魔法でも使えないと無理」とされたミッションを達成して、チームは勢いづく。その後も「街頭演説に聴衆を集める」「投票所のバリアフリー対策情報を一元的に提供する」といった課題に一つずつ取り組み、確実に状況を変えていく。
 物流の変革でも、うまくいっている会社には同じ勢いがある。「この倉庫はトラックを待たせないことを第一義として作業を組み立てました」というA社、「トラック積載率を8割にする」を工場から営業まで巻き込んで達成したB社、いずれも一つの課題を突破口として取り組みを広げ、ムダを根源から省く変革を実践した。
 「銀河の一票」の結末は「当選」ではなかったが、都政に一石を投じた。政治素人の身にそのリアリティーは評せないが、心地よい着地だった。