全日本トラック協会に飼料部会が発足した。飼料を配送する際の危険な高所作業などをなくすことが目的だが、畜産物流の課題はこれだけではない。生体の出荷でも人手不足と非効率な作業が長く放置されている。
焼き鳥や鍋料理など日本の食を支えるブロイラー。その供給が滞りかねない状況なのだが、要因は輸送の起点である捕鳥・積み込み作業にある。出荷量が全国有数の鹿児島県で生産・輸送を手がける運送会社、山坂では、捕鳥と運搬の専門部署を設け、1日15万羽を出荷している。鶏舎で鶏を捕らえ専用の輸送用コンテナに収容する作業は、かなりの労力を要する。コンテナ一つに入るのは6羽程度。それを8段積みにしてリフトでトラックに載せる工程は効率が悪く、既存設備を改良・機械化した程度では、大きな改善は望めないという。一方、地元のブロイラー輸送事業者にとって、ドライバーや捕鳥作業員の不足は深刻な課題だ。捕鳥の専門会社が廃業するなどしており、一部ではドライバーが行うケースもある。捕鳥は主に、鶏が静かで気温が下がる深夜から未明にかけて行われる。この時間帯では簡単に人は集まらず、その上、鶏舎には冷房施設がないため、特に夏場の労働環境は厳しい。
さらに、制度上の制約も重なる。外国人労働者の特定技能制度では、農業分野であれば捕鳥作業が認められる一方、運送事業者が雇用する特定技能外国人の業務には、これが含まれない。運送会社が人手を確保したとしても、現行制度ではこの作業に従事させることができない。
打開策として、200羽を収容できる出荷コンテナのケージ化と積み込み作業の機械化が期待される。ただし、導入には高額の投資が必要で、加工場設備の刷新や天井が低く通路の狭い旧式鶏舎の改修など、生産者側の負担も避けられない。
こうした課題を運送事業者や小規模農家だけで解決するのは難しい。畜産と物流にまたがる課題である以上、業界や企業の連携をより一層深めるべきだ。放っておくと、両業界は共倒れとなる。飼料部会が立ち上がったのを機に、畜産物流の別の課題にも目を向けてもらいたい。(上田慎二)