【主張】老朽インフラの取捨選択必要

最寄り駅までの歩道を歩いていた時のこと。ある家の庭木の枝がはみ出し、歩行者の顔の付近まで伸びていた。この道は駅を利用する多くの人が通行する上、近くの小中学校の通学路。うっかりしていると目に接触する恐れもある。特に、日没後の暗い時間帯は、けが人が出ても不思議ではない。全国にたくさんの空き家があり、同じような光景を目にする機会は多いはずだ。
 この道には、もう一つ気になるところがある。個人経営の建設会社の敷地に、歩道に面した簡易喫煙所が設けられている。自転車置き場のような屋根と灰皿があるだけの施設で、複数の従業員が一服すると途端に歩道までタバコの煙がもくもくと漂ってくるような場所だ。朝夕の通勤、通学の時間帯に行き交う人たちは、受動喫煙を余儀なくされている。
 民家の主や建設会社の責任者は、この現状を理解しているのだろうか。特に、児童・生徒が安全かつ快適に通行できない状況がある。庭木の所有者や喫煙所の当事者に悪意があるとは思えないので、ひと声かけるだけで解決する問題のような気もする。
 話は変わるが、地元紙に気になる記事が掲載されていた。ある記者がコラム欄で嘆いていたのだが、梅雨の時期になると市内中心部の道路を歩くのが嫌になるそうだ。道路の凸凹が修復されていないため、自動車が通過するたびに、路面にたまっている雨水が歩行者に跳ねてくるのだという。予算の関係もあるのだろうが「観光客離れにつながるのでは」との指摘もあった。当然、運転するドライバーにとっても、段差に注意を払わなければならない嫌な道のはずだ。ここにも、安全かつ快適に通行できない現状がある。
 日本のインフラも同じ課題を抱えている。人口減少が加速する中で、安全・快適な通行を確保できないトンネルや橋りょうをどうするべきか。近所の道は今後も間違いなく必要なものなので環境を整備するべきだが、老朽化したインフラは今後の必要性に疑問が持たれるものも多い。本当に必要なものだけに絞り込みたい。
(今松大)