【ちょっといっぷく】運輸労連前委員長 難波淳介氏、ページの中の「脇道」

最近、辞典を購入した。漢和に国語、そして英和辞典だ。
 本を読んでいて、読めそうで読めない漢字が意外に多い。漢字の読みを調べるには部首や画数から追うことになるので漢和辞典が欲しくなった。結局、国語辞典と英和辞典まで衝動買いし、重くかさばる3冊を背中のデイパックに詰めて持ち帰った。国語と英和は社会人になった頃以来だから40年ぶり、漢和に至っては中学校入学時以来なので半世紀ぶりの再購入である。
 ネット通販のほうが早くて楽なのは分かっている。ただ、どの辞典を選べばよいのか見当がつかない。こんな時こそ実店舗だと、カフェ併設の大型書店へ向かった。「舟を編む」(三浦しをん)の一場面を思い出しながら、平積みされた辞典を手に取っては、紙の滑り具合や手触りを確かめる。違いなど分かるのかと問われれば返答に戸惑うが、迷いながら選ぶ時間が楽しい。
 買ってから開く機会が最も多いのは漢和辞典。読めない漢字を部首から追う。すると読み方に加え、文字の成り立ちや熟語まで目に入る。目的の言葉に真っ直ぐ向かって検索しているが、ページの中に張り巡らされる脇道に迷い込む。見たこともない漢字や思いがけない熟語に出合うたび、ページをめくる手が止まってしまう。
 運ばれてくるものは物資だけではない。いにしえのシルクロードを通じて文物が東西を行き来したように、辞典は今日も新しい言葉や知らなかった意味を私のところまで運んでくれる。そんな小さな寄り道を楽しみながら、文字に向き合う日々が続いている。