ネット通販でアマゾンを利用しているが、先日返品手続きを行い、そのサービス品質に改めて驚かされた。ネットで申請し、品物をコンビニエンスストアに持ち込むだけで無料で返送できる。数日後には支払額がカードに戻り、煩わしさはほとんどない。返品という面倒な作業でさえ、顧客満足を損なわないよう丁寧な仕組みを整えている。アマゾンの卓越性を象徴する一例である。
アマゾンは国内のネット通販市場で突出したシェアを持ち、売り上げを伸ばしている。競争力の源泉の一つが、自前で構築した物流網だ。全国に巨大なフルフィルメントセンターを配置し、ラストマイルでは軽貨物運送事業者を大量に動員して独自の配送ネットワークを形成する。短いリードタイムを実現するこの仕組みは、本家アメリカのアマゾンと同様、強力な競争優位を生み出している。
しかし、アマゾンが進出した国々で日本と同じ成功を収めているわけではない。世界最大のネット通販市場である中国では、アリババや京東といった地元勢の厚い壁に阻まれ、早い段階で撤退を余儀なくされた。
さらに最近では、シンガポールでもシェアが伸びず、事業縮小や撤退の判断を迫られている。日本やアメリカで圧倒的な強さを見せるアマゾンでも、国が変われば競争環境も大きく異なり、同じ戦略が通用するとは限らない。
アマゾンの成功は規模の大きさだけでなく、環境への適応力に支えられている。しかしその適応力にも限界があり、文化や市場構造が企業の強さを簡単に塗り替える。