「荷主Jは労務費などのコスト上昇局面にあることを認識していたため、物流事業者から運賃引き上げの要請があれば協議に応じるつもりであったが、要請がなかったため協議の場を設けることなく運賃を据え置いていた」
まさかこの内容が「買いたたき行為」とされるとは。公正取引委員会が6月25日に公表した「令和7年度物流特殊指定に関する調査結果」の一事例だ。社名公表される「勧告」の手前の「注意喚起」ではあるが、運賃の値上げについて、荷主は運送事業者からの要請を待つ「受け身」ではだめで、価格転嫁に向けて主体的に協議しなければならないという、まさに「新常識」が示された。
物流特殊指定は独禁法に基づく告示で、荷主と物流事業者の取引における優越的地位の乱用を取り締まる。下請法が中小受託取引適正化法(取適法)に改まり、荷主も規制対象になったことから役割を終えたのかと思いきや、そうではなさそうだ。来年からは着荷主も規制対象とする改定が発表された。公取委が取適法と物流特殊指定で荷主の行動変容を促し、これを国土交通省の「トラック・物流Gメン」が現場から助ける。運賃を上げ、荷待ちやドライバー荷役をなくそうとする国の動きは精力的だ。
法と制度が変わって常識が変わった身近な例に「喫煙」がある。店や乗り物の中、会議中でも当たり前のように吸っていた光景が、受動喫煙の規制や分煙ルールで一変した。近い将来、荷待ちやドライバー荷役が、バス乗車中の喫煙並みの「不適切行為」となる日が来るなら楽しみだ。