【ちょっといっぷく】川崎近海汽船特別顧問 久下豊氏、雰囲気に流されない

今年7月の原油輸入量でアメリカからの輸入比率が4割弱になり、国別でトップになった。従来は中東が9割強だったが、イラン紛争が勃発して以来、輸入ソースの変更を進めた結果、中東は6割を切り、北米南米、とりわけアメリカからの輸入が増えた。
 輸送距離が延びることで輸送コストが増え、その分、日本の原油コストとして跳ね返ってくる。ガソリン暫定税率の廃止や激変緩和措置の継続で、本当の石油価格が見えにくくなっているのが怖い。ほかにも日本の製油所は中東原油に適合したものになっており、アメリカ原油だと効率的な石油精製ができず稼働率が下がると言われている。
 他方、アメリカの原油備蓄も減っているのですぐにとは言わないまでも、アメリカに頼れなくなる可能性もあるだろう。となれば、備蓄を使うこともあるだろうが、製品の形で輸入することにもなろう。
 ただ、その際どこの国も自分のことで精いっぱいで、輸出余力がなくなっている可能性が高い。石油製品の利用の仕方には工夫が必要だろう。
 ガソリンや軽油を今まで通り使うのがいいのかどうか。例えば中国は、再生可能電源を増やしつつ電気自動車も増やしているのはよく知られているところだ。日本の政府は国民に不安を抱かせないために、格好をつけてうまくやっている演出をしつつ、節約不要という雰囲気をつくり出している気がする。先のことを考えると危ないと思う。ここは本当に何が起こっているかを正しく理解し、それに備えておかないといけない。杞憂(きゆう)に終わればいいが油断は大敵である。