【主張】法定速度下げ、適切に運用を

改正道交法の施行で、中央線などがなく地域住民が日常利用する「生活道路」の法定速度が時速60㌔から30㌔に引き下げられたのを受け、都道府県警は周知を進め、各トラック協会でも注意喚起をしている。しかし、適切に運用されているだろうか。
 警察庁のデータでは、交通事故全体の件数は減少傾向にあるものの、生活道路での事故件数は横ばいが続く。道幅が狭く歩道のない道路は、歩行者や自転車と接触する危険が常にある。最近では、高齢者が利用する電動式のシニアカーも増えている。
 住宅地や商店街の道路でも、スピードを緩めないクルマは後を絶たない。こちらが速度を落としながら走っていると、車間距離を詰め「早く行け」と言わんばかりにあおってくる車両もある。悪質なドライバーを排除するためなら、法定速度の引き下げは理解できる。
 クルマを運転する人なら分かると思うが、生活道路を含めた一般道路を走る際に、常にスピードメーターを注視しているわけではない。周囲の交通状況を判断し、歩行者や自転車と接触する危険があれば、自然にスピードを落とすのが正しく、大半のドライバーはそうしている。大事なのは個人の安全意識だ。
 宅配大手のトラックは生活道路を主戦場としているが、ドライバーは狭い道路だと慎重な運転に徹している。中には、建設資材を運ぶ車両など、中型車以上のトラックが生活道路を通るケースもある。引き続き、通行には細心の注意を払ってもらいたい。
 一方で、生活道路の定義がややあいまいだ――との指摘もある。大都市圏と地方で交通事情が大きく異なり、全国一律の運用は無理がある。中央線があっても人通りの多い道路もあれば、中央線がなくても閑散とした道路もある。「50㌔」などの速度標識がある場合、標識が優先されるが、その周知徹底も必要だろう。
 加えて、全国の警察で交通違反を巡る不正が起こっている。可搬式オービス(速度違反自動取り締まり装置)などを使い、違反キップを目的化した「ネズミ捕り」に利用することがあってはならない。公平・公正で適切な運用をお願いしたい。(星野誠)