【ちょっといっぷく】フリーライター 橋本愛喜氏、過失運転でいいのか

新名神高速道路で3月に発生した「トラックながらスマホ6人死亡事件」の裁判を傍聴するため、8月と9月に二度、三重県の津地方裁判所へ向かった。傍聴希望者が多く抽選になり、9月は落選したが、被告人質問のあった8月は高倍率の中、運よく引き当てた。
 本件の求刑は7年で、過失運転致死で最高刑となるこの求刑は当然ではある。しかし、そもそもプロドライバーが制限速度を時速30㌔超過した上、13秒も前方を見ずに起こした事故が危険運転致死ではなく過失運転致死でいいのか。反省を口にしながらも被害者の名前すら言えない被告が、憎く見えて仕方なかった。
 運送業界は今回の事故を「一人のドライバーが起こした惨事」と、無責任に突き放してはいけない。ながら運転をしてしまうトラックドライバーも多く、悪質な例もある。
 先日、87人に「今まで経験のある、または見聞きしたながら運転」の例を問うと「動画視聴」のほか「ラーメンを食べながら」「ゲームしながら」という回答もあった。
 トラックドライバーにながら運転が多い理由を執筆中だが、こうした事故が続けば、自動運転トラック受け入れの潮流は加速するだろう。
 労働問題について書く身としては「今後も天職を全うしたい」というドライバーを応援したい。一方で、遺族の表情やその後襲ってくる苦しみ、さらにはトラックドライバー不足や高齢化、文句だけは一丁前な態度に鑑みると、この潮流にあらがう必要もないように思えてきてしまうのだ。