9月19日から21日にかけて関東地方を襲った台風25号。千葉県は総雨量450㍉の大雨で、県内各地に甚大な被害をもたらし、その影響が色濃く残っている。JR内房線の姉ヶ崎駅-木更津駅は、土砂流入で3カ月間の運転見合わせが続く。JR東日本は当初、代行バスを仕立てるとしたが、バスの確保が進まず当面中止することを発表した。同じ自動車運送に携わるトラック運送関係者は「いつかトラックでも同じ事態が起こるのでは」と感じたのではないか。
実際、今回の豪雨でトラック事業者が被害を受け、別のところに声がかかっている。荷物があっても積み残す日はそう遠くない――、そんな予感を持つ人は多いと思う。
多くの事業者は30年前、予備車を持っていた。保有台数の1割程度を事故などに備えて待機させ、緊急時には運行管理者や経営者が乗り込んだ。雪国では、除排雪のためのダンプを持っているところも多かった。
だが、経営の余裕がなくなり、予備車は徐々に減少した。除排雪に困る自治体は、年々増えている。売り上げの立たない車両の維持にも、車検費用、定期整備、保険代などのコストはかかる。今では、ドライバーの人数と保有台数は等しくなっているところが多い。
ところが昨今、予備車の存在をまた聞くようになった。経営に余裕が出てきたからではない。ドライバーが減ったためだ。先月、先々月まで荷物を載せて専属ドライバーが付いていた車両でも、退職で突然走れなくなる。その状態がしばらく続き、採用の見通しが立たないと減車する。同じことが先行して進んだのが、旅客バスではないか。
2024年以降、年末や年度末の繁忙期に空車を探せないという声を聞く。丹念に話を追うと、荷主と中堅運送事業者は年間計画で荷物と車両を固定させ、繁忙期を短縮させようとしているらしい。それでも、あふれた荷物を運ぶ車を探しても見つけられない。平時はいい。しかし、千葉のような事態が近場で起これば、走れるトラックの貴重さが分かるはず。働きたいと思う人を増やす方法は、もはや多くの人が分かっているのではないだろうか。(佐々木健)