東京一極集中を是正し、多極分散型国家の実現につながるとされる副首都構想。政府は副首都の指定要件を規定する政令案を2日に公表し、道府県に全国人口の1・2%以上の政令指定都市があることや、首都直下型地震、富士山噴火で東京圏と同時被災しないことなどを盛り込んだ。副首都には複数の自治体が名乗りを上げていたが、この要件により、北海道、愛知県、大阪府、福岡県に絞られた。
副首都に指定されるメリットには、税制優遇や規制緩和による産業競争力の強化、鉄道、空港、道路といったインフラへの投資などがあり、物流への恩恵は大きい。さらに、都市のブランド力が増せば、流入人口の増加も期待できる。
総務省が発表した2025年の人口移動報告によると、転入者が転出者を上回る転入超過は、都道府県別で東京、神奈川、埼玉、千葉、滋賀、大阪、福岡の各都府県。一方、転出超過は40道府県に上る。
副首都の申請に意欲を示していた自治体の一つが、転出超過が5年連続で全国ワーストの広島県だ。横田美香知事は3日にコメントを発表し「大規模災害時の首都中枢機能の維持や多極分散型経済圏の形成という関連法の基本理念を踏まえると、広島は副首都としての適性を持っている」と主張した。
横田氏は転出超過対策として、若者や女性に選ばれる地域づくりを掲げている。高校生や県外から移住してきた20代社会人との対談、経済団体代表との意見交換を行ったほか、広島県トラック協会の女性活躍促進検討部会の高橋理歌部会長とも7月に対談。これは、横田氏からの要請がきっかけだ。
副首都構想は日本維新の会の肝いりで、当初から「大阪ありき」の批判が高まっていた。人口で線引きをして間口を狭めるような指定要件に対して「結果ありき」と勘繰りたくなるのは、トラック業界に関心を寄せる横田氏をひいきするからではない。
政府は10月3~16日にパブリックコメント(意見公募)を行った上で、同月末に政令を決定、公布する。国家・地域戦略の今後を大きく左右する一大構想に対して、自治体の首長ならずとも意見を伝えるべきではないか。(矢野孝明)