【主張】プロドライバーが目指す指針

全国トラックドライバー・コンテストは今回で58回目を数える。プロドライバーが目指すべき指針として、半世紀以上にわたって果たしてきたその役割は極めて大きいと言ってよい。
 25年ほど前、まだ駆け出しの記者だった頃に「ドラコンは大手のドライバーだけが出場し、型ばかりの技術や机上の知識を競うもので、大した意味はない」と批判した事業者がいた。その社長は「競技のための練習や勉強をさせる余裕など、われわれ零細事業者にはない」とも言った。小規模・零細事業者を取り巻く経営環境は確かに厳しく、それは現在でもさほど変わらず、むしろ過酷になっているかもしれない。
 しかし、ドラコンで基本的な技術や知識を学び、競うことを「意味がない」と切って捨てる姿勢には、はっきりと異を唱えたい。自動車免許を取得した時を思い出してほしい。誰でも、運転操作の基本的な型を繰り返し練習して身に付け、法令や車両に関する知識を学んできたではないか。そうした基本を軽んじて、プロドライバーとして安全運行を担えるだろうか。
 芸術の世界などで、これまでに類を見ない独創的なものを「型破り」と表現することがある。元となる型を踏まえた上で超越しているからであり、基本を踏まえていないものは「形なし」とも言われる。運転も同じで、プロであるならば、基本をゆるがせにすることは絶対に許されない。
 ところが、残念なことに、緑ナンバートラックを運転するドライバー全員に基本が徹底されているかというと、必ずしもそうではない。毎日ハンドルを握って公道を走ってみれば、アマチュアの自分でも容易に実感できる。ドラコンを目指して研さんを積むことの意義は、まさにそこにある。
 近年は中小事業者から参加する選手も増え、全国大会で優秀な成績を収めるケースも多くある。トラック協会の会員だけでなく、全ての運送事業者のドライバーがこぞってドラコンの全国大会を目指し、飲酒運転やながら運転による事故はもとより、緑ナンバートラックの交通事故が根絶される日が来ることを祈ってやまない。(小菓史和)