多重下請け構造是正、取引「2次」まで制限へ

政治・行政

物流業界の多重下請け構造は、適正取引を阻害する要因として長らく問題視されてきた。通常国会で審議中の貨物自動車運送事業法の改正案では、元請運送事業者に、実運送事業者の社名などを記載した「実運送体制管理簿」の作成義務化を明記。一方、全日本トラック協会(坂本克己会長)の検討会は3月、取引は2次下請けまでに制限すべきとの提言をまとめた。官民を挙げた取り組みを通じ、課題解消への機運が高まっている。(土屋太朗)
 多重下請け構造を是正するための規制措置の一つである実運送体制管理簿は、元請運送事業者に作成を義務付ける。実運送事業者の名称、貨物の内容、区間、何次請けに該当するかといった記載項目を規定。電子化も認め、作成後は1年間の保存義務を課す。下請けなどへの開示義務はないが、荷主から請求された場合は見せなければならない。また、記載様式は一律に求めないが、国土交通省は「参考」としての提示も検討する。
 管理簿の作成は、元請けの負担増につながる懸念がある。ある運送事業者の担当者は「物流業界の取引は急なスポットの依頼も多い。こうした取引も全て管理簿に記録しないといけないのか」と指摘。国交省は改正案に盛り込まれていない部分でも、省令などで補足すべき内容は別途検討していく必要性を示している。輸送業務の全てを義務化の対象とするのかといった点も、今後の検討事項となる可能性がある。
 一方、規制措置には書面による運送契約の義務化も示した。これは荷主と元請けとの間だけではなく、運送事業者同士の取引も対象とする。業務の内容に加え、付帯作業料や燃料サーチャージを含めた対価を記載する必要がある。保存義務は規定していないが、同省によると、今後検討される可能性はあるという。