アイ・リンクホールディングス 石島 久司氏 × M&Aキャピタルパートナーズ 須田 真和氏
グループで課題解決へ
M&A(合併・買収)市場が活況を呈している。物流業界も例外でなく、事業の存続や拡大に向けて再編が進む。M&A仲介のM&Aキャピタルパートナーズは、業界平均と比べて手数料が高くないことや、物流業界に特化した担当者を置いている点を強みに、買い手・売り手の双方に寄り添った対応を通じて実績を重ねている。同社企業情報部の須田真和次長と、本拠を群馬県太田市に置きM&Aを積極的に進めるアイ・リンクホールディングスの石島久司社長に、業界のM&Aの動向などを話し合ってもらった。
40、50代経営者の要望多く
須田 御社は2033年の創業100周年に向け、売上高300億円を目指しています。その実現に向けた事業戦略として、M&Aの推進を掲げていますね。
石島 祖父が創業者で、元々は群馬県桐生市で原木を馬で運ぶ事業から始まりました。26年で創業94年目になります。
M&Aは15年ぐらい前、京都の営業所の事業拡大を図るために実施したのが最初です。当時は積極的にやろうという考えはありませんでした。しかし、「100周年の節目に300億円」の目標を設定したのを踏まえ、5年ほど前から積極的に行い、成長戦略の大きな柱にしています。今は年間1、2社のペースで実施しており、現在は国内のグループ18社のうち、13社がM&Aによるものです。
須田 私事ですが、実家が御社と近く、仕事で接点を持たせていただく前から勝手に身近な存在として感じています(笑) 物流業界では、昨年のM&A件数が124件と過去最高を記録するなど、年々増えている状況です。
「2024年問題」によるコストの高騰や、荷主からの要求の高度化といったことを受け、企業が単独で対応するのが難しい中、グループで力を合わせて課題解決するためのM&Aが増えています。その意味で、必ずしも高齢のオーナーによる後継者不在を理由とした案件だけでなく、40、50代の経営者からの要望が多くなっている実感があります。もちろん、買い手となる企業からのリクエストも増えています。
石島 私も同じ印象です。自社だけでは生き残れないと考え、グループに入ってスケールメリットを出そうという発想の社長さんが出てきています。実際、弊社では40代で傘下に入り、そのまま社長として残っている子会社もあります。
須田 御社では、具体的にどのような考えでM&Aを進めていますか。
石島 「時間を買う」という考え方です。ドライバー不足が深刻化し、単独で営業所を出しても人員が集まらない状況の中、元々存在する会社が入ることで、その地域でネットワークや顧客をすぐに広げることができます。また、直近のグループの売上高は155億円ですが、目標年までに300億円を目指すにはM&Aするしかないという思いもあります。
須田 どのような会社を選んでいますか。
石島 エリアで言えば北関東から西日本側をターゲットにしています。基本的に保有台数が30台以上の規模を考えていますが、それ以下でも既存拠点と近ければ対象にしています。弊社が運んでいない品目を扱っている場合、業務上でのシナジーは出しにくいですが、スケールメリットやバックオフィスの面で効果は出ると考えています。
今年2月に茨城県の会社をグループ化しました。ここは3年ぐらい前から手を挙げていましたが、売り主が手堅い方で、弊社以外にも十数社と面談し、その結果、弊社を選んでくれた経緯があります。その際、PMI(統合プロセス)の仕組みやトップ面談での印象が良かったと聞きました。
M&Aは15年ぐらい前、京都の営業所の事業拡大を図るために実施したのが最初です。当時は積極的にやろうという考えはありませんでした。しかし、「100周年の節目に300億円」の目標を設定したのを踏まえ、5年ほど前から積極的に行い、成長戦略の大きな柱にしています。今は年間1、2社のペースで実施しており、現在は国内のグループ18社のうち、13社がM&Aによるものです。
須田 私事ですが、実家が御社と近く、仕事で接点を持たせていただく前から勝手に身近な存在として感じています(笑) 物流業界では、昨年のM&A件数が124件と過去最高を記録するなど、年々増えている状況です。
「2024年問題」によるコストの高騰や、荷主からの要求の高度化といったことを受け、企業が単独で対応するのが難しい中、グループで力を合わせて課題解決するためのM&Aが増えています。その意味で、必ずしも高齢のオーナーによる後継者不在を理由とした案件だけでなく、40、50代の経営者からの要望が多くなっている実感があります。もちろん、買い手となる企業からのリクエストも増えています。
石島 私も同じ印象です。自社だけでは生き残れないと考え、グループに入ってスケールメリットを出そうという発想の社長さんが出てきています。実際、弊社では40代で傘下に入り、そのまま社長として残っている子会社もあります。
須田 御社では、具体的にどのような考えでM&Aを進めていますか。
石島 「時間を買う」という考え方です。ドライバー不足が深刻化し、単独で営業所を出しても人員が集まらない状況の中、元々存在する会社が入ることで、その地域でネットワークや顧客をすぐに広げることができます。また、直近のグループの売上高は155億円ですが、目標年までに300億円を目指すにはM&Aするしかないという思いもあります。
須田 どのような会社を選んでいますか。
石島 エリアで言えば北関東から西日本側をターゲットにしています。基本的に保有台数が30台以上の規模を考えていますが、それ以下でも既存拠点と近ければ対象にしています。弊社が運んでいない品目を扱っている場合、業務上でのシナジーは出しにくいですが、スケールメリットやバックオフィスの面で効果は出ると考えています。
今年2月に茨城県の会社をグループ化しました。ここは3年ぐらい前から手を挙げていましたが、売り主が手堅い方で、弊社以外にも十数社と面談し、その結果、弊社を選んでくれた経緯があります。その際、PMI(統合プロセス)の仕組みやトップ面談での印象が良かったと聞きました。
経営理念とシステム統一須田 M&Aは、グループ化した企業の体制整備が非常に重要です。御社のPMIについて教えてください。 石島 経営理念とシステムの統一が重要だと考えています。これらを社員に理解してもらうため、それぞれ分科会を設けて、話し合いを進めています。ホールディングスの社員も加わります。「100日プラン」といった考えも提唱されていますが、弊社ではグループ化した会社に合わせ、場合によっては2年ほどかける会社もありました。
グループ会社の社長には「財務を見なくていい」と指示しています。つまりBS(バランスシート、貸借対照表)を見させていません。車両や土地などが必要であればホールディングスが対応します。その代わりPL(損益計算書)をしっかり見てもらっています。利益を出すことだけ考えてもらい、それ以外はホールディングスというスタンスなので、その意味ではグループ会社の社長はすごく楽じゃないかと思います。
須田 それだけしっかりとした受け入れ態勢があるのは、上場会社でも多くないと思います。
石島 ウィンウィンの関係にしないといけません。売った社長にも、良かったと言われるように引き続き努力していきたいと思います。
須田 弊社の紹介もさせていただきます。クライアントファーストを経営理念としており、同業と比べても、手数料が検討しやすい形だと考えています。そもそも、着手金を頂きません。売り主にとって一生に一度の決断なので、入り口の段階でお金がかからないようにしています。着手金があるとハードルが高く感じられるため、買い手側にもご評価いただいています。
手数料に関しては、株価に対して料率をかける方式を採用しています。業界では総資産に料率を掛けるパターンもありますが、弊社では売り手も買い手も取引時の株価を基準とする「株価レーマン方式」になります。運送事業の経営者は車両や土地を持っているために資産が大きくなりやすく、資産を基準にすると売却して取得する金額に比べ手数料が高くなるケースが散見されます。手数料が低くなれば、買い手が売り主に支払う金額が増え、買い手の思いが売り主に届きやすいと考えています。
石島 買い手となる弊社からしたら、「総額で幾ら」という提示をするので、先方に入る金額が大きくなることは喜ばしいです。
「ありのまま」伝えるよう
須田 M&A支援会社に対する要望などはございますか。
石島 物流業界ではコンプライアンス(法令順守)が年々厳しくなっています。売り手のコンプライアンスに関して、事前にある程度精査していただけると安心です。せっかく時間をかけて進めたのに、後になって改善できないコンプラ違反が判明すると全て無駄になってしまいます。
須田 おっしゃる通りです。弊社としても、事前にお渡しする紹介資料にきちんと落とし込んで、ありのままをお伝えできるようにしています。そのためにも、担当者の知見や経験が重要になっていきます。
私たちが買い手にきちんと説明できないと、売り手の印象も悪くなります。弊社では、社内に物流業界に特化したプロフェッショナルチームを設けており、業界の知見やノウハウを持つメンバーが担当しています。経営者の方と同じ言語でお話しさせていただくことで、安心していただけると思います。
石島 物流業界のポイントを把握されているというのは心強いですね。物流を分かっていないと会話にもなりません。
須田 おかげさまで、物流企業からの問い合わせや成約実績は年々増え、ノウハウは蓄積されています。業界全体でみても実績が増えており、買い手のネットワークも整備されてきています。今後も、この業界でのマッチングを強化していきたいと考えています。
アイ・リンクホールディングス社長 石島 久司(いしじま・ひさし)
群馬県桐生市出身。明治大学在学中は準硬式野球部に所属し、六大学リーグで活動。3季連続でベストナイン受賞するなどの経歴を持つ。大学卒業後、トーリク(並木恭輔社長、神奈川県平塚市)に3年間勤務し、1991年に家業の石島運送(現石島運輸倉庫)に入社、2002年に代表取締役。その後、石島運輸倉庫を中核会社とするアイ・リンクホールディングスを立ち上げた。
M&Aキャピタルパートナーズ企業情報部次長 須田 真和(すだ・まさかず)
群馬県伊勢崎市出身。桐生第一高校時代に甲子園に出場。大学卒業後、新卒で銀行に入行し、中堅・中小企業向けの融資業務やコンサルティング、個人の資産運用業務に従事。M&Aキャピタルパートナーズ入社後は、後継者問題の解決や成長支援に関する業務を担当。建設・工事、物流・輸送、IT・ウェブ、人材サービス、廃棄物処理、製造など幅広い業界の実績を持つ。物流業界のプロフェッショナルチームのリーダーとして、数多くの成約実績がある。
M&Aキャピタルパートナーズ企業情報部次長 須田 真和(すだ・まさかず)
群馬県伊勢崎市出身。桐生第一高校時代に甲子園に出場。大学卒業後、新卒で銀行に入行し、中堅・中小企業向けの融資業務やコンサルティング、個人の資産運用業務に従事。M&Aキャピタルパートナーズ入社後は、後継者問題の解決や成長支援に関する業務を担当。建設・工事、物流・輸送、IT・ウェブ、人材サービス、廃棄物処理、製造など幅広い業界の実績を持つ。物流業界のプロフェッショナルチームのリーダーとして、数多くの成約実績がある。